羽生雅の雑多話

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まさしく「線の魔術」~みんなのミュシャ展 プチ感想

 2週間ほど前になりますが、渋谷のBunkamuraザ・ミュージアムで開催中の「みんなのミュシャミュシャからマンガへ――線の魔術」展に行ってきました。

 

 新国立博物館ミュシャ展の時の感想にも書きましたが、彼の絵の魅力の一つは自在で繊細な輪郭線にあると思っているので、副題にある「線の魔術」という表現には大いに共感をおぼえ、また「マンガへ」ともあったので、おそらく私の好きなグラフィックデザイナー時代の作品が中心だろうと思い、足を運びました。思ったとおり、「ムハ」というチェコ読みの名前が影も形もない展覧会でした。

 

 作品は所狭しと並べられていて、見甲斐がありました。「ハムレット」「ジスモンダ」「ロレンザッチョ」のサラ・ベルナール題材作品、私の好きな四芸術の「舞踏」の他、「ヒヤシンス姫」や「黄道十二宮」など、おなじみの代表作もありましたし。しかも会場は一部撮影可能なところもあり、さすが文化村だと思いました。

トラピスティーヌ(トラピスト派のリキュール)のポスターの部分。人物も背景も、まったく隙のない凄い絵です。

ベネディクティン(ベネディクト派のリキュール)のポスターの部分。人物と背景の明暗が素晴らしい。

 

 そんな展示の中でも今回特におもしろいと感じたのが、ミュシャの影響が見られる後世のクリエーターの作品展示でした。ドラクエと並ぶ大作ゲーム、FFこと「ファイナルファンタジー」で知られるイラストレーターの天野喜孝さんの絵は私も好きなのですが、ミュシャの影響が見られる作品として見せられたことで「なるほど」と思い、だから好きなのかと、このたび得心がいきました。何年か前に天野喜孝×HYDE展「天命と背徳」という展覧会が原宿であったのですが、もちろん狂喜乱舞して行きました。天使と悪魔が背反し混迷を極めた世界を、ラルクhydeをモチーフに天野さんが描く作品群の展示で、モチーフもテーマも好みのドンピシャでしたから。

天野喜孝×HYDE展「天命と背徳」で購入した扇子。悪魔のhydeと天使のhyde

 

 マンガ家作品については、中にはミュシャに通じるところはないだろうと思うものもありましたが、山岸涼子さんや波津彬子さんの絵は特別好きというわけではありませんが、雰囲気のある上手い絵だとは思っていて、マンガも何冊か持っているので納得。山岸さんは昔雑誌で読んでいた『日出処の天子』のカラーなどは少女マンガの域を超えた素晴らしいものだったし、波津さんは鏡花作品を漫画化した作品は大好きですし。ま、現代日本においてアールヌーヴォーといえば、私は岡田嘉夫さんではないかと思いますが……パステル調とか淡い色づかいの作品だけがアールヌーヴォーというわけではないと思うので。