羽生雅の雑多話

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京都寺社遠征 その2~野宮神社、常寂光寺、宝厳院、法輪寺(嵐山花灯路)

 福田美術館の展示室を2巡すると、閉館10分前になったので、美術館を出て、5時からライトアップ が始まる嵯峨野へと向かいました。

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 嵯峨野には『源氏物語』ゆかりの野宮神社があるので、もちろん初めて来たわけではありませんが、最後に訪れた記憶が20代前半なので、本当に久しぶりでした。松尾大社仁和寺のついでに渡月橋界隈に行くことはあっても、嵯峨野まで足を延ばすことはなかったので。花灯路の期間中は夜間特別拝観が行われる寺社も多く、野宮神社も通常5時で閉まる社務所が8時まで開いて夜間参拝ができるようなので、まずはそちらから行くことにしました。

f:id:hanyu_ya:20200112211058j:plain源氏物語』にも登場する野宮神社の黒木の鳥居。「黒木」とは樹皮が付いたままの木のこと。

 

 野宮神社は、かつて伊勢の斎宮の潔斎所だった野宮が起源で、『源氏物語』の賢木の巻には、斎宮となった娘と共に伊勢下向を決意してこの宮に籠っていた六条御息所光源氏が訪ねる野宮詣での場面が書かれています。本当は潔斎中に会いに行ったりしたらダメなのですが、何をしても許されるのが光源氏なので……。その後神社となり、現在の祭神は野宮大神とされていますが、これは伊勢斎宮が奉仕した伊勢の大神のことなので、すなわち天照大神ということになります。

f:id:hanyu_ya:20200112211255j:plain境内の苔の庭園

f:id:hanyu_ya:20200112211514j:plain境内社と竹林。芭蕉の句「ほととぎす大竹藪を洩る月夜」とはこんな光景でしょうか。季節は違いますが。

 

 お参りをして御朱印をいただき、野宮神社を出ると、竹林の小径を通って小倉池方面に向かい、夜間特別拝観ができる常寂光寺に行きました。過去数え切れないぐらい京都を訪れていますが、この寺には一度も行ったことがなく、いい機会だったので。けれども、特別拝観といっても見られるのは外だけで、建物の中には入れず。本堂にお参りもできなかったので、初めて訪れた寺でしたが、御朱印はいただきませんでした。

f:id:hanyu_ya:20200113021242j:plain竹林の小径

f:id:hanyu_ya:20200113021315j:plain竹林の間から見える宵の空

f:id:hanyu_ya:20200113021349j:plainライトアップ された小倉池。百人一首の忠平(貞信公)の歌で有名な小倉山の麓にあります。

f:id:hanyu_ya:20200113021432j:plain常寂光寺山門

f:id:hanyu_ya:20200113021513j:plain山門を入ると左右に行灯。特別拝観といっても、このようにライトアップされた境内を楽しむだけでした。改めて調べたところ、常寂光寺は昼間でも伽藍内の拝観はできないようです。だから今まで行ったことがなかったのかもしれません。

 

 二尊院までが花灯路のエリアで、常寂光寺の先にある落柿舎――松尾芭蕉が『嵯峨日記』を著したことで知られる向井去来の草庵――でも夜間特別入庵ができたのですが、こちらは昔行ったことがあり(昼間でしたが)、かつ神社でも寺でもないため祭神や本尊に参拝するということもないので、今回はあきらめました。天龍寺は閉まっていますが、塔頭の宝厳院は夜間特別拝観が可能で、そちらのほうが気になったので。せっかく来たからと欲張って時間がなくなり、本当に観たいところが慌ただしくなって満足に観られないという間抜けなことは避けたいと常日頃から思っているので、常寂光寺の拝観を終えると、それより奥には行かずに引き返し、宝厳院へと向かいました。

 

 小倉池を右手に来た道を戻り、竹林の小径の入口を通過して、大堰川沿いに出るために亀山公園を通ったら、ライトアップ はおろか外灯もなく(点いていなかっただけかもしれませんが)、ほぼ真っ暗。花灯路のパンフレットに載っているルートなので人の往来はあるのですが、すれ違う人が稀に持っている懐中電灯の光だけが頼りという道行きでした。ほとんど足元が見えない中、なんとか最後の下り階段をクリアーして大堰川に突き当たると、少し川岸を歩いて嵯峨嵐山文華館の角を左に曲がり、 宝厳院に到着。

f:id:hanyu_ya:20200113021643j:plain大堰川渡し船と嵐山。なんと嵐山もライトアップ されていました。

f:id:hanyu_ya:20200113021724j:plain宝厳院の「獅子吼の庭」。嵐山を取り入れた借景回遊式庭園で、中央左の奥にぼーっと見えるのが嵐山。庭と山が両方ともライトアップ されているのでこう見えます。

f:id:hanyu_ya:20200113021839j:plain 竹林と紅葉――自然が彩なす緑と赤の競演

 

 宝厳院の次は、渡月橋を渡って法輪寺へ。「令和元年デジタルカケジク」というプロジェクションマッピングのイベントをやっていたので見に行ってきました。

f:id:hanyu_ya:20200113022424j:plainライトアップ された夜の渡月橋法輪寺に参詣するために架けられた参道橋だったので、昔は法輪寺橋と呼ばれていたそうです。

 

 実は何年か前にも法輪寺プロジェクションマッピングを見たことがあって、それが歴史的建造物で行われるプロジェクションマッピングの初体験だったのですが、その時の衝撃があまりに大きかったため、以後似たような機会があれば見に行くようになり、大山寺やら二条城やらにも出向いているというわけです。

 

 ちなみに、法輪寺和銅6年(713)に行基が創建した元明天皇勅願寺で、私が最初にこの寺を訪れたのも清和天皇ゆかりの十三まいりが行われているからでした。そんな1300年以上の歴史がある天皇家とも縁が深い古刹でこんなことをやるなんて斬新すぎて、初めて観たときには本当に驚きました。

 

 法輪寺のデジタルカケジクは、以前も今回も夜間拝観料を取ることはなく、二条城のように入場料も必要ありません(二条城は世界遺産で、プロジェクションマッピングの規模も違いましたが……)。参道の階段を上って境内まで足を運べば誰でも見ることができ、しかも温かいお茶の無料サービスまであるという素晴らしいイベントで、これはリピートします。

 

 しばらく本堂と多宝塔を交互に観たあと、お茶を一杯いただき(今回はアップルティーでした)、飲み終わったあと、虚空蔵菩薩もビックリの妖しい電飾で彩られた本堂にお参り。

f:id:hanyu_ya:20200113022525j:plain法輪寺多宝塔

f:id:hanyu_ya:20200113022600j:plain法輪寺本堂

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 この寺で今回見るつもりだったものはすべて見終わったので、京都駅に戻るため、来たときとは違う表参道経由で阪急嵐山駅まで歩き、嵐山線に乗りました。渡月橋付近の人混みを歩くのも、嵐電やバスで座れずに立って帰るのも、バスで渋滞にはまって時間がかかるのも嫌なので、嵐山から京都駅方面に戻るときは、いつもそうしています。それゆえ最寄りの法輪寺が最後になるコース設定にしました。歩き疲れていて時間的に余裕があれば、阪急嵐山駅からバスに乗ることも稀にあるのですが、その場合、終点の京都駅まで寝ることが大前提。そういう時に電車だと乗り過ごすので(笑)。阪急電車は京都駅には行かないので、桂駅で京都線に乗り換えて烏丸駅まで行き、地下鉄で京都駅に向かうのが常なのですが、その日は市バスの一日乗車券を持っていたので、大宮駅で降りて、四条大宮バス停からバスで京都駅まで行き、駅構内のホテルに帰りました。これにて日程終了です。