羽生雅の雑多話

引越してきました! 引き続きよろしくお願いします!

やはり只者ではないネイサン・チェン~フィギュアGPシリーズ第2戦スケートカナダ感想

 金曜は仕事で三重と京都に行き、京都の業者さんと夕飯を食べたので京都に泊り、翌土曜に帰ってきたのですが、ついでに両親の家に寄ってきました。年末年始には顔を出しているのですが、再びコロナウィルスの感染が広まり第6波が到来して昨年のように緊急事態宣言が発出されれば行けなくなるので。親に会うのは昨年の正月以来で、大学在学中に当時川越にあった実家を出ましたが、その後出身地である静岡県に戻った親元に盆暮れ正月には顔を出していたので、1年以上会わずにいたのは人生で初めて。ありがたいことに二人とも元気でしたが、想像以上に老け込んでいた外見に、確実に過ぎた1年10か月という時の流れを感じました。

 

 自宅だからか両親はマスクをしていませんでしたが、私はマスク無しでの会話は怖いので、飲食のとき以外は着用。そんな状態で泊まるのは気をつかい、面倒くさくて嫌だったので、昼食を御馳走になったあと3時間ほどの滞在で6時過ぎには帰宅し、「ブラタモリ」に続いて、スケートカナダのショートをテレビ観戦。北京オリンピック出場が有力視されている日本選手――羽生結弦選手、宇野昌磨選手、鍵山優真選手、紀平梨花選手などは出ていませんでしたが、世界王者のネイサン・チェン選手と私の大好きなジェイソン・ブラウン選手、リーザことエリザベータ・トゥクタミシェワ選手、アリョーナ・コストルナヤ選手が揃い踏みだったので、十分に見ごたえがありました。

 

 ネイサン、ジェイソン、リーザは自分のスケートが確立していて、その自分のスケートを突きつめたパフォーマンスは、洗練されているというか研ぎ澄まされていて、本当に素晴らしいです。はっきり言って格が違います。ネイサンのキレと柔軟性、ジェイソンの表現力と独創性、リーザのインパクトと力強さと色気――現在彼らに匹敵する存在感のあるスケートが可能な日本のスケーターはユヅだけですね。

 

 それにしても圧巻でしたね~、本日のネイサンのフリー。彼の不敗神話に終止符が打たれたというニュースで、フィギュアスケートのグランプリシリーズが開幕したことを知ったのですが、前回のアメリカ大会はまさかの3位。しかし一週間で立て直し、今回300点超えで優勝、あっさりとファイナル進出を決めました。先週地元で平昌オリンピック以来の敗北を喫し、今週は必ずや全力で勝ちに来るだろうと思ったので、ユヅとの直接対決の時と同じぐらいいい演技を見せてくれるはずと期待していましたが、その期待を裏切らない出来栄えでした。「ネイサン、オリンピック大丈夫か?」の声を封じ込める圧倒的な、やはり世界王者というか格が違うパフォーマンスでしたね。ジェイソンのフリーはショートに比べると出来がイマイチでしたが、この人の演技はジャンプを失敗しても見ることができてよかったと思える、他の誰も真似できない演技なので、見られるだけで満足。

 

 そしてリーザのフリー……言うことありません。女子シングルで優勝したのはフリーで4回転3本を成功させた新星ワリエワ選手でしたが、リーザの演技を見に来た、リーザがベストだと思った観客はたくさんいたと思います。強弱のメリハリがあり、演技の中で静と動が絶え間なく明確に入れ替わるリーザの演技。すべてのジャンプを跳び終わってラストに向かうときに、さらにスピードを上げて複雑なステップを踏んで盛り上げていく構成は驚きでした。腕や手の動きの美しさが秀逸で、5本の指を一番美しく見せられるスケーターではないでしょうか。手だけがよく動いて美しいとなるとそれはそれで違和感がありますが、脚の動き、腰の動き、体全体が魅せるように動いて、スケート靴を履いてダンスを踊っていると思うのはリーザだけですね。

 

 ワリエワ選手は素晴らしかったのですが、跳ぶ4回転がすべてタノジャンプだったのでデジャヴ感があり、手を挙げればいいというものではないと思った、ザギトワ選手が出てくる前のメドベージェワ選手を思い出しました。けれども、ジャンプが突出しているトゥルソワ選手よりは全体的にバランスが取れているような気がします。同じように4回転を跳ぶ技術と表現力を併せ持つ世界女王シェルバコワ選手との直接対決を見てみたいと思いました。

 

 今大会に出場した日本選手は、女子は奮闘していましたが、男子は残念な感じでした。ただし女子に関しては、宮原知子選手にやや強さが加わったのが三原舞衣選手で、三原選手にさらなる力強さが加わったのが紀平梨花選手という印象を抱きました。彼女たちとは魅力が異なる樋口新葉選手や坂本花織選手などパワフル系は、そのタイプの究極の進化形がリーザだと思うので、リーザの域に達しないと今期の国際大会の表彰台は難しいと思いました。リーザですら2位にはなれても1位は難しいのですから。最強ロシア勢の一角を崩せるのは、もはや日本女子では紀平選手ぐらいでしょうか。もっとも、紀平選手もメダル争いをするためには、万全の状態であることが絶対条件ですが。グランプリファイナル出場は逃しても、全日本で結果を出して、文句なしに北京オリンピックの代表に選ばれるように、今は耐えて治療に専念し、最後に悔いの残らないオリンピックシーズンにしてほしいですね。