羽生雅の雑多話

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羽生結弦の演技を見るにつけ思う髙橋大輔の凄さ

 NHK杯の男子シングルフリーを先ほど観終わりました。羽生結弦選手が優勝しましたが、良くも悪くも相変わらずの演技でした。
 
 ソチの金メダルから2年以上経ちますが、正直あまり成長している感じがしないですね。4回転をより多く跳ぶための技術や体力、より点数が稼げる難しい構成などはレベルアップしていると思いますが、体の使い方とかがほとんど進歩していないように思えます。同じ年月の宇野昌磨選手の伸び方を思うと、限界かという気もします。年齢的には伸び盛りだと思うのですが。
 
 確かに、技術的には上限に近いところまできているので、あとの伸びしろは表現力だと思うのですが、羽生選手は技術ほど重要視していないのでしょうね。変に賢そうなので、勝てないところで勝負するより、技術面で誰にも上がってこられない高みまで上ってやると考えているのかもしれません。技術的に同レベルの演技をしたら、彼はハビエル・フェルナンデス選手やパトリック・チャン選手には勝てませんから。本人もわかっているのでしょう。競技ですから戦術は大事です。
 
 羽生選手の演技で感動したといえるのは、「ロミオとジュリエット」だけですね。いつかの世界選手権のフリーはまだ体力がなくて後半ヘロヘロでしたが、全身から必死さが伝わってきて凄みがありました。今の彼の演技の美しさは、恵まれた体形に助けられた、正確なポジションに基づく、いわば体操的な美しさなので、バランスが崩れたら終わり。動きが何かを物語るとか表現しているとかは、残念ながら一切感じられません。
 
 その点、大ちゃんこと髙橋大輔元選手はすごかった。一番好きなフィギュアスケーターは誰かと問われたら、迷わず彼を挙げます。「白鳥の湖」以降、特に怪我から復帰したバンクーバー五輪シーズンの「eye」と「道」からソチ五輪の「ヴァイオリンのためのソナチネ」と「ビートルズメドレー」までは神がかっていました。今風に言うと神ってるというやつです。観ていてゾクゾクしました。結果も演技構成もミスすらわかっているのに何度でも観たくなる神演技が、どのプログラムもシーズンに1回はありました。今日もどっかの選手が「道化師」を使っていましたが、髙橋大輔リスペクトだと思います。3位に入った田中選手のフェリーニ・メドレーも大輔リスペクトっぽいし。選手本人がリスペクトしていなくても、曲を選んだ人間の頭の中に髙橋大輔があったのではないかと思うのです。「道化師」も「道」も、ただのファンよりスケートをやっている人こそ忘れられない演技だったと思いますし。
 
 私のフィギュア観戦歴はスコット・ハミルトンにはじまり、カタリーナ・ビットやトービル&ディーン組などの演技を見てどっぷりとハマりました。ボイタノとオーサーの両ブライアンが引退した後とか、ヤグディンプルシェンコの闘いが終わった後とか、好きな選手が抜けるとその直後のレベルダウンぶりがおもしろくなくて興味を失い一時期離れたりしたこともありましたが、いつもほどなく復活して、非熱狂的なファンとして観戦を続けています。
 
 列挙したとおり、男子シングルが一番好きなので、大会も男子シングル、エキシビション、女子シングル、アイスダンス、ペアの優先順位で観ます。といっても、実際に観に行くのは世界大会レベルで、関東近県が会場の時だけです。なにしろ非熱狂的なフィギュアファンですから。大ちゃんが現役の時はどうしても生で観たくなって、全日本とかグランプリファイナルin博多とかも例外的に観に行きましたが。
 
 大ちゃん以外に好きなスケーターはスコット・ハミルトン、ビクトル・ペトレンコ、アレクセイ・ヤグディンステファン・ランビエールジェフリー・バトルジョニー・ウィアー等々。カート・ブラウニングとエフゲニー・プルシェンコは好きなスケーティングではないけどすごいとは思うので、観るのは好きでした。
 
 ということで、スケーティングが巧いのはもちろんですが、競技という究極の緊張感の中で、魂とかソウルとかスピリットとかいわれるものを表現できるとか、その人しか持ち得ない世界観を表現できるスケーターが好きなので、今のユヅに対しては辛口になります。あんなに能力、体形に恵まれたスケーターが表現力を追求し体得したらどうなるのか見てみたいから余計に歯がゆい気がします。シニアに上がったあと、まず国内の争いがあり、大ちゃんに勝つためには、かなり先を行かれている表現力より、とりあえず技術を磨いて追いつく必要があったことは認めますが、もういないんだし、そろそろひと皮むけてもいいと思うのですが……平昌を集大成にするのなら。