羽生雅の雑多話

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宝塚メモ~「赤坂を瑠璃色に」by美弥るりか

 本日は赤坂ACTシアターの宝塚月組公演「瑠璃色の刻」を観てきました。初日だったので終演後に舞台挨拶があり、その後カーテンコールが3度ありました。三度目はスタンディングオベーションだったのですが、同劇場は緞帳が薄くて、舞台上のジェンヌさんたちに見えていたと、みやるり(美弥るりかさん)が四度目の挨拶の中で暴露しておりました。

 さて、みやるり初の単独主演公演で、しかも雪組から異動してきたばかりの期待の若手スター、レイコ(月城かなとさん)が二番手として出演した本公演。観なきゃ後悔すると思い、なんとかチケットを手に入れて行ってきました。はっきり言って、脚本はいまいちで内容は薄かったですが、薄くてけっこうという公演でした。今回はストーリーを楽しむ公演ではなく、ジェンヌさん一人一人の技量を味わう公演だと思いましたので。よって、物語に入り込んでしまうような重みのある内容ではなくて、かえってよかったです。いうなれば、歌舞伎のような感じ。筋書きもクライマックスもオチも決まっていて、ストーリー的には大した話ではないけれど、役者次第で変化が出て、つまらなくも面白くもなるというような。

 そういう意味で、満足のいく公演でした。とにかくみやるりの美しさが素晴らしい。みりお(明日海りおさん)も美しいのですが、みやるりの美しさは、妖しい、妖艶、耽美というような言葉がふさわしいもので、悪魔的というか破滅的ですらあり、私が好きな中原中也オスカー・ワイルドの世界に通じるものを感じます。身のこなしは端正で、貴族的な所作が板についていて、かつあれほど似合うジェンヌさんもいません。第二幕の終盤で、貴族側の人間として革命軍に追われる立場となり、自分と同じく最後までマリー・アントワネットに付き添っていたアデマールと逃げ込んだサンジェルマン伯爵の部屋で、足をクロスさせて座り、隣に座るアデマールを相手に、低いアルトの声でモリエールのセリフを口にするみやるりの美しさは半端ではありませんでした。あのシーンを作るためなら、前後の辻褄なんか合わなくてもいいと思ったくらいでした。

 みやるりに比べると、レイコは正統派の美丈夫で、誰が見ても美形の好青年でした。今回が異動後はじめての月組作品ですが、ポジション的にも問題がなく、誰が見ても二番手でした。芝居も歌もダンスも、とりあえず問題なし。背も高く、立ち姿も完ぺきで、隠しきれないスターオーラがすでに漂っていました。

 そんな路線まっしぐらのレイコですが、彼女のことをまだまだだなと思わせたのが、とし(宇月颯さん)の巧さ。今回芝居に歌にダンスに大活躍でした。みやるりサンジェルマンと袂を分かったレイコジャックは後半はとしロベスピエールと一緒に舞台に立つことが多いのですが、見た目に優るレイコではなく、としに目が行くほど熱男でした。としとネッケル役のまゆぽん(輝月ゆうまさん)は水を得た魚のようでしたね。二人とも役柄にふさわしい存在感がありました。ロベスピエールの民衆を煽る革命の指導者としての吸引力、ネッケルの平民代表として国王ルイ16世に意見する財務長官としての貫禄、どちらもビシバシ伝わってきました。まあ、まゆぽんも研4でロミジュリのベローナ大公を演じたくらいの芸達者さんですから。95期はやはりスゴイです。

 今回は娘役さんもよくて、主演娘役なのに主役のみやるりとの絡みもほとんどなく、役としてはあまり恵まれていなかったアデマール役の海乃美月さんも、どちらかといえば、アデマールよりキーパーソンであるマリー・アントワネット役の白雪さち花さんも、歌もお芝居もソツなくこなしていて安定感がありました。

 ということで、どこかの組のように「滑舌がなぁ」とか「歌がなぁ」という不満が一切ありませんでしたので、それもよかったです。やはり月組は組力があると再認識しました。