羽生雅の雑多話

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宝塚メモ~三度目のスカピン感想

 記事をアップするのが大変遅くなりましたが、第一週めの土曜は日比谷で宝塚星組公演「スカーレット・ピンパーネル」を観てきました。ベニー(紅ゆずるさん)のトップお披露目公演です。

 圧倒的な存在感でトップ・オブ・トップとも呼ばれたチエ(柚希礼音さん)と、三拍子そろったタカラジェンヌ職人のみっちゃん(北翔海莉さん)という、実力派トップのもとで二番手を約6年務め、このたび満を持して就任。経験的にはなんの問題もないし、演技センスは買っていましたが、お披露目がスカピンというのは実はちょっと引っかかっておりました。というのも、スカピンは、かつてとうこ(安蘭けいさん)ときりやん(霧矢大夢さん)という、これまた実力派のトップが主演した名作なので。

 ブロードウェイミュージカル「スカーレット・ピンパーネル」――略してスカピンの日本初演でもあった2008年の初演は星組で、研1の時から絶対にトップになると思って注目していたとうこが主演。音楽を手がけたのがフランク・ワイルドホーンで、「ひとかけらの勇気」をはじめ楽曲がいいので、歌が上手いとうこはまさに適任。と思っていたら、早くも2年後に月組で再演があり、その時はきりやんのトップお披露目公演だったのですが、正直なところ贔屓のとうこが主演した星組より個人的には好みで、歌も芝居も巧くて、きりやんの芸達者ぶりを再認識した公演でした。なので、ベニーの微妙な歌を聴けばとうこを思い出し、弾けすぎている芝居を観ればきりやんを思い出し……という感じで、あまり入り込めませんでした。それと、宝塚の中でもコメディエンヌ的要素が際立っているベニーですが、今回はちょっとふざけすぎているとも思いました。宝塚友の会の優先公演だったからかもしれませんが……。「こうもり」のアイゼンシュタイン侯爵役や「桜華に舞え」の衣波隼太郎役がよかっただけに残念。今回は高音の発声で演技をする場面が聞き苦しかったです。パーシーが表向きに見せている軽い部分は、違う方法でも出せると思います。

 この公演から二番手となったショーヴラン役のこと(礼真琴さん)は、ビジュアル以外は歌も芝居も問題なし。特に歌は一人で持っていっていました。ビジュアルもけっして悪いわけじゃなく、でもショーヴランとしてはちょっと幼い感じがしました。もう少し大人の男っぽさというか、色気みたいなものが出てくるとよいと思います。初演でショーヴランを演じたチエが、いかにものねちっこそうな濃い男で、これぞショーヴランという感じだったので。

 しかし、スカピンは名曲ナンバー揃いなのですが、再々演の今回は、本当にことの歌に支えられていました。他に歌ウマがいない……。観終わったあと、こと主演の別箱公演「阿弖流為」が観たくなったので、頑張ってチケットを取ろうと思います。