羽生雅の雑多話

引越してきました! 引き続きよろしくお願いします!

宝塚メモ~芝居とダンスの雪組を実現したトップスター・早霧せいな

 今月の週末は京都、日比谷&渋谷、静岡と行ってきまして、先週末にようやく土日の両日を家でゆっくりすることができました。いただいたレストランよねむらのトリュフクッキーと、バート・イシュルの塩で食べるキタアカリをつまみに、先月買って冷蔵庫に入れたままだったアンリオを昼間から開けて、のんびり。暑くて面倒なことはやる気が起こらないこともあって、美味しいものを食べながら久しぶりにダラダラと過ごし、dポイントのメルマガで気になっていた新しいゲームに手を出したらハマってしまって……現在エラいことになっています(汗)。それにしても、よねむらのトリュフクッキーは絶品でした。トリュフ好きにはたまりません。

 そんなこんなで、例によって時間がなくて、かなり遅くなりましたが、雪組公演を観て思ったことをサクッと書いておきます。明日は花組なので(早っ! )。急な仕事で本日は金沢だったのですが、明日がマチネなので日帰りの強行軍。今月は5回新幹線に乗りました。

 さて、「ドラマティックなステージ~」ということで、今回の公演はチギこと早霧せいなさんのサヨナラ公演でした。演目はミュージカル「幕末太陽傳」とショー「ドラマティック“S”」。「幕末~」では芝居を、ショーではダンスと歌を見せてくれました。チギが芝居とダンスを魅せ、だいもん(望海風斗さん)が歌と芝居を魅せ、文句のないサヨナラ公演でございました。最強ですね、雪組。今、あの演目ができるのは、はっきり言って雪組だけです。トップスターのチギと二番手のだいもんが相乗効果を発揮して、本当にいい組を作ってくれました。

 チギは、型のある役をやらせたら右に出る者はなく、仕草や身のこなしが芝居じみていて、歌舞伎役者の巧さに近いものがありました。そして、その身のこなしというか、高い身体能力を生かした屈指のダンサーでした。だいもんは安定感と存在感が抜群で、見ていて間違いがない安心感があります。組替えで雪組に来てから、チギの唯一とも言えるウィークポイントである歌を補ってくれて、チギをはじめ、雪組全体のレベルを上げてくれました。二人の影響なのか、チギがトップのあいだの雪組生の成長ぶりはスゴかったと思っています。とりわけ彩彩コンビの伸び方は目を瞠るものがありました。上手い下手は別として踊れるようになりましたし、声も出るようになりました。特にさき(彩風咲奈さん)は、「ブラック・ジャック」の時にはヤンキー青年にしか見えず、正統派ニ枚目は合わないのではないかと思っていましたが、今回の徳三郎のような坊ちゃん役が違和感なくハマるようになりました。ナギショー(彩凪翔さん)も美しいビジュアルなのになんか目立たない、オーラが足りなかったのに、個性と存在感が出てきてスターらしくなりました。月組に異動になりましたが、レイコ(月城かなとさん)も飛躍的に成長して、路線に確実に乗ったと思いますし。それぞれに見た目が洗練され、演技の幅も広がりました。思い返せば、「伯爵令嬢」「ルパン三世」「るろうに剣心」、また映画の中でも不朽の名作である「ローマの休日」をやったのですから、近年雪組生が越えてきたハードルは、数も高さもハンパじゃありません。理想形がある二次元キャラクターの三次元化ですから……苦労してこのハードルを越えたときには嫌でも成長していたと思います。さきは次元大介斎藤一、ナギショーは石川五エ門と武田観柳、レイコは四乃森蒼紫……根強いファンがいるゆえに難しい、プレッシャーのかかる役を、真摯に役と向き合い、誰もが幻滅させるどころか、期待に応える形でこなしてきました。ある時にひと皮むけるというか、スターさんのああいう成長を見るのが宝塚の醍醐味の一つなのですが、チギのトップ時代はそれが多く見られて、本当に毎公演楽しかったですね。

 そして、忘れてならないのが、チギと添い遂げ退団をした娘役トップスターのゆうみ(咲妃みゆさん)。チギの能力ゆえに、特にトップになってからはチャレンジな演目ばかりでしたが、彼女が相手役だったから、どんなジャンルでもどんと来いで、いずれの公演も成功させることができたのだと思います。チギが原作のイメージを壊さないルパンや剣心になれたのも、ゆうみがアントワネットや薫だったからこそでしょう。

 ありがとう、チギ、ゆうみ。お疲れ様でした。そして、だいもん、これからも雪組のよさを失わずに、伸ばしていってください。楽しみにしています。

  さてさて、明日の花組は新トップコンビお披露目の公演。二番手キキ(芹香斗亜さん)の異動も決まりましたし、みりお花組は、いったいどこへ向かっているのやら。

 余談ですが、雪組公演のあと渋谷に移動して、シアターコクーンで、チギの前の雪組トップスターだったえり(壮一帆さん)が出演している音楽劇「魔都夜曲」を観てきました。チギ時代の雪組の大成は、えりの功績なくしてはありません。ミズ(水夏希さん)のあと、なかば強引にキム(音月桂さん)をトップにして、娘役トップの選定も迷走し、ファンにソッポを向かれて興行的にもボロボロになった雪組を、芝居の雪組として立て直したのは彼女ですから。

 この公演は1930年代の上海が舞台で、李香蘭やら川島芳子といった歴史上の人物が登場する物話です。えりは川島芳子役で、言わずと知れた男装の麗人ですから、ピッタリのハマリ役でした。共演の橋本さとしさんとか村井國夫さんは言わずもがな。なーちゃん(大浦みずきさん)と同期のウタコさん(剣幸さん)とかがトップだった頃の月組の名娘役だった春風ひとみさんも相変わらずの巧さで、まったく問題ありませんでしたが、肝心の主演である藤木直人さんが藤木直人にしか見えず、脇を固めたアイドル主演の舞台を観ているような感が拭えませんでした。見た目はカッコいいし、等身大の役なので、違和感はなかったのですけどね。いい演技を観たという感じは残念ながらしませんでした。その点、「ハムレット」の内野聖陽さんは、きっちりと役者の演技を見せてくれたと思います。好き嫌いはあると思いますが。ただし、この公演はフランス租界のジャズクラブがメインの舞台で、全編を通してジャズが生演奏されるので、芝居というより、ライブ感覚のエンターテインメントとして観る分には楽しめてよかったと思います。でも、スタンディングオベーションするほどではないと思いましたけどね。最近は、皆さん、すぐに立ちますよね。前の人が立ったら自分も立たないと見えないからでしょうか。