羽生雅の雑多話

引越してきました! 引き続きよろしくお願いします!

藤田嗣治展コラボメニューと縄文展

 久しぶりに土日の両日予定がなく、やっと少しのんびりできる週末です。


 この前の日曜日で終わってしまいましたが、先週金曜の夜に東京国立博物館の「縄文展」に行ってきました。5体の国宝土偶が一堂に会するということで、縄文・弥生史研究をライフワークにしている者にとっては見過ごせない展示だろうと思ったので、4月には特典付きの前売券を買っていたのですが、行く時間がなくて、終了間際になってしまいました。
 
 7月、8月は本当に暇がなくて、異常な暑さの中、平日は仕事、土日は海外旅行と仕事のために体を休めて体調管理に努めるのが精一杯で、美術展を観に行くような余裕はまったくありませんでした。ただでさえ熱帯夜続きでまともに眠れず睡眠不足気味なのに、アルコールで体温が上がるとよけい眠れないので、しばらく飲みに行くのもやめていて、昨日ようやく約2か月ぶりに飲み会に参加しました。そうして極力不要不急の外出を控えていたにもかかわらず、家の中で軽い熱中症になりましたし。お盆休みを取れるような仕事の状態ではないのに一週間以上日本を留守にしていたせいもあり、帰ってきたあとも忙しくて行けず、月末のこの日、プレミアムフライデーであることを理由に、強引に仕事を切り上げて行ってきました。
 
 東京国立博物館法隆寺宝物館の1階にあるホテルオークラがやっているレストラン「ガーデンテラス」で提供されている縄文展の特別メニューが食べたかったので急いだのですが、上野駅に着いたら残念ながらラストオーダーに間に合わない時間だったので、東京都美術館にある上野精養軒がやっているレストラン「サロン」に行くことにしました。こちらは特別展開催中は美術館の開館時間に合わせて開いているので。シャンパーニュがあり、店内の雰囲気もよいので、上野で食事をするときはけっこう利用します。あまり時間がないときは西洋美術館のカフェにしますが。
 
 都美館ではただいま藤田嗣治展が開催中で、そのため藤田嗣治展コラボの特別コースというのがあり、メニューを見るとアナゴ、フォアグラ、トリュフ、獺祭スパークリングという文字があり、大いに気になったので、それを注文。フレンチなので、テタンジェも頼みました。詳細なメニューは次のとおり。
 
・冷製フランス産赤桃のスープ 黄桃浮かし
江戸前アナゴとナスのポワレ ミルフィーユ仕立て 2色のソース
・合鴨モモ肉のコンフィと胸肉のロースト フォアグラ添え トリュフソース
・車麩のサバラン風 獺祭スパークリングのシャーベット添え

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江戸前アナゴとナスのポワレ。サーブの時に「藤田嗣治の絵は乳白色の下地と墨線が特徴なので、その特徴をカリフラワーソースとバルサミコソースで表現しました」という説明があり、なるほどと思いました。

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合鴨モモ肉のコンフィと胸肉のロースト。こちらは説明がなかったので訊いたら、フジタが過ごしたパリのビストロ料理のイメージとのことでした。思いきり肉料理なので、カベルネ・ソーヴィニョンのグラスを追加。

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車麩にラム酒をきかせたサバラン風のお菓子と、食べられる稲穂付きの獺祭スパークリングのシャーベットのデザート。
 
 食後のコーヒーを飲んだあと、6時半過ぎに店を出て、トーハクへ。金曜は9時まで開館しているので、長時間の鑑賞に備えて先に腹ごしらえをしたのですが、行ってみると縄文展の会場である平成館は入場規制をしていて列に並ぶことになりました。
 
 いい印象のない平成館での展示なので最初から嫌な予感があったのですが、予感的中でした。それほど待つことなく中には入れましたが、資料を見たり美術品を鑑賞したりする環境ではない混み方で、展示も典型的な平成館での展示でした――悪い意味での。いつもながら全国から集めた展示品は見事なものでしたが。三内丸山遺跡の板状土偶にも数年ぶりに再会できましたし。けれども、展示が相変わらずダメダメでした。国宝土偶も同じ部屋に展示されているというだけで、それぞれの展示ケースは散漫に置かれていて、同じ空間で見られるというだけで、一堂に会している意味がない。たとえ人がいなくても同じ視界には入ってこないので、比べてみるということもできない状態でした。しかも、来るたびに考古展示室に寄って気軽に目にしている東博所蔵のカルコの遮光器土偶にもたくさんの人が群がっていて、展示ケースが人垣の彼方だったので、「はあ?」と思いました。いつもは間近でサシで向き合えるおなじみサンなので――。特別企画展なのに常設展での展示より満足に鑑賞できないなんて、あまりにも工夫が足りないというか、キュレーターの力不足を感じました。自分のところの所蔵品なのだから、いつもと違う見せ方をしてほしかったし、国立博物館の規模でそこまでできないというのは情けない話ですが、いろいろな理由でそれができないのなら、せめて展示品が普通に見られるようにしてほしかったですね。常設展よりも高い入館料を取るのですから。
 
 まあ、混むとわかっていて会期終了間際の最後の金曜の夜なんかに行った私も悪いのですが、人混みに見る気も失せて、とりあえず見えるものだけを見て、特典を引き換え、さっさと本館の常設展に行きました。本館で何年か前に開催された土偶展が素晴らしかっただけに残念です。しいて言えば、ところどころに縄文時代の暮らしを表したミニチュア模型があり、それは注目度も低くてじっくり見られたので、よかったです。それと、土偶は混んでいましたが、土器はまだ鑑賞できるスペースがあったので、いくつか立ち止まって観てきました。焼町土器の力強さは目を瞠るようなインパクトがあり、火焔型土器は、まさしく立ち昇る焔のように空に向かっていくようで、高みを目指すような勢いを感じました。
 
 常設展を見たあとミュージアムショップに寄って、縄文展の図録の他、春信と出雲国風土記の資料を購入。図録の出来は良く、写真が大きくて印刷もきれいなので、これで十分だと思いました。特別展に時間がかからなかったので、8時半には博物館を出て、予定より早く帰りました。

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特別展で撮影が許されていた顔面把手。岡本太郎が惚れ込んでいたそうです。

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常設展の考古展示室でもこんな魅力的な土偶に会え、しかもゆっくりと向き合えます。

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特典付きチケットの特典、土偶パペットタオルポーチ。

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パペットなので、こんなことができます。

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こんなポーズもできますが、あくまでもその正体は、ファスナー開閉式のタオル地ポーチです。

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三内丸山遺跡に行ったときにワークショップで作った板状土偶と、お土産で買ってきた板状土偶の革製キーフック。玄関にいて、帰ってくると出迎えてくれます。

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三内丸山遺跡がある青森の名物といえば、ねぶた。上野に行った日の前日は目黒に行って、雅叙園で「和のあかり×百段階段2018」を見てきました。仕事で関係のある京都の会社の営業さんからチケットをもらったので。百段階段での展示は展示スペースそのものが素晴らしい文化財で魅力的なので、けっこう好きです。この部屋も壁と天井が凄いので、力のない展示作品だと展示スペースに負けてしまいます。