羽生雅の雑多話

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宝塚メモ~お見事! 彩風咲奈の髪型七変化

 こちらも一週間前に終わっていますが、千秋楽の前日に、宝塚雪組公演を観てきました。演目はミュージカル「凱旋門」と「Gato Bonito!!~ガート・ボニート、美しい猫のような男」。ミュージカルのほうは再演で、主演はなんと初演と同じ――轟悠理事でした。


 わざわざ「なんと」と大げさに言ったのは、初演は2000年で、つまり18年ぶりの再演だからです。男役で18年前と同じ役をやって違和感がないなどという神業が可能なのは、おそらく理事だけでしょう。ベル・エポック期の医者など、古き良き時代のインテリ役をやらせたら、まず理事の右に出る者はいません。セピア色の街が似合う渋さと、酸いも甘いも知った大人の男が醸し出す色気は理事の独壇場です。歌の声が掠れているとか声量がないとか気になる部分がないわけではないですが、そのマイナス面を補って余りあるものがあります。
 
 18年前の公演は生で観ていないのでこの作品を劇場で観るのは初めてだったのですが、植田先生と並ぶ巨匠の柴田先生の作品なので、さすがに最初から最後まで破綻のない、完成度の高い作品でした。スタイリッシュで重厚感があり、芝居の雪組にふさわしい演目でしたね。かつ、今の雪組は前トップスターで名ダンサーだったチギ(早霧せいなさん)のもとで鍛えられて踊れるので、群舞の場面もきれいで、洗練された雰囲気がよく出ていました。現トップスターで歌ウマのだいもん(望海風斗さん)のもとで鍛えられているせいで全体的に歌も上手く、アンサンブルも迫力がありましたし。
 
 唯一残念だったのは、理事が特出したことによって、男役はそれぞれポジションが下がり、出番が少なかったことでしょうか。二番手のさき(彩風咲奈さん)ですら、前半はろくに出番がありませんでしたから。
 
 ただし、さきはショーで凄まじく活躍してくれました。出てくるたびに髪型が変わっていて、しかもそれがオールバックとか男役の定番的なものは一切なく、どう見ても普通ではない、さきぐらいしかやらない独特の髪型なのに、全部似合っているのには驚きました。本当に見た目が洗練されてカッコよくなりました。芸も何をやらせてもソツなくこなせるようになり、どこにいても目を引き、存在感は随一です。安定感と貫禄はまだまだですが。
 
 そして、さきもナギショー(彩凪翔さん)もあーさ(朝美絢さん)もショーでは踊りまくっていて、あーさなんか額に汗がかなり光っていて、8月中の公演はさぞかし大変だっただろうなと思いました。家にいても熱中症になるような記録的な猛暑だったのに、千秋楽前日まで体調を崩さず維持し、こうして素敵な舞台を見せてくれていることに感謝しました。
 
 歌ウマのトップスターコンビは思う存分歌い上げていて、娘役トップスターの真彩希帆さんは芝居では相手役の理事に合わせて歌も控えめにしているように思えましたが、だいもんが相手のショーでは解き放たれたように本領を発揮していました。お祭り騒ぎの藤井演出も相まって、ミュージカルとは打って変わって賑やかで楽しい、密度の濃いショーでした。内容はけっして濃いものではありませんでしたが。
 
 雪組月組同様に、歌、ダンス、芝居に難がなく、男役の枚数も揃っているので、観ていて安心感があります。月組の次回作「エリザベート」はトート役がトップスターたまきち(珠城りょうさん)のカラーに合っていないという意味で一抹の不安がありますが、雪組の次回作「ファントム」は楽しみですね。当代一の歌ウマトップスター、だいもんの代表作になると思います。