羽生雅の雑多話

引越してきました! 引き続きよろしくお願いします!

坂本龍一、大貫妙子、ミスチル……自分用誕プレCDまとめ買い

 誕生月であることを理由にやたら散財しまくっている今月ですが、毎月10日と20日はdポイントが20倍になり、誕生月の場合それが25倍になるので、いずれ買おうと思ってカートに入れたままだった物も含めて、20日に4枚のCDを購入。さっそく届いたので、聴きながら記事を書いています。

 
 昨年の11月か12月か忘れましたが、偶然ネットで2018年がYMO結成40周年であることを知り、併せて「YMO40」なるプロジェクトが始動し、アルバムが再リリースされることも知りました。ならば、YMOで一番好きな曲である「ナイス・エイジ」が収録された「増殖」、二番目に好きな「テクノポリス」が収録された「ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー」、アルバム全体が好きな「BGM」と「テクノデリック」の4枚はすでにCDで持っているので、まだ持っていない「浮気なぼくら」と、レコードしか持っていない「サーヴィス」の40周年記念盤でも出たら買おうかと思い、YMOのことを調べていたら、解散後に発表された坂本龍一のソロワークのリマスタリング盤も各種出ていることを知ったので、年末に「音楽図鑑2015 edition」を買いました。大晦日も近づいていたので。
 
 何故大晦日が関係するかというと、このアルバムに収録されている「セルフ・ポートレート」という曲が好きすぎて、一年の最後か最初には必ず聴くことにしていたからです。この曲を聴かないと一年が終わらないというか、一年が始まらないという年中儀式めいたことを10年ぐらい続けていました。なので、「音楽図鑑」だけは1月を待たずに、けれども、せめて20日に注文して20倍ポイントはもらおうと、せこいことを考えて何日かオーダーを待ったのですが、待ちに待って深夜12時過ぎに注文したら、何故か1日勘違いをしていて、その日は19日でした。……たぶんかなり疲れていたのでしょう。
 
 「音楽図鑑」はレコードを持っていて、カセットテープにもダビングしたのですが、現在どちらもプレイヤーがないため再生できず、もう何年も聴いていませんでした。ということで、お気に入りの「セルフ・ポートレート」も昨年末に久しぶりに聴いたのですが、全然色褪せていなくて、やはりいい曲だと改めて思いました。軽快で広がりの感じられる、本当にきれいな曲です。1曲目の「チベタン・ダンス」も一度聴いたら耳に残るキャッチーな曲ですし、基本はインストゥルメンタルですが、独特な歌入りのボーカル曲もあって、幅広い音楽が味わえ、この一枚からも坂本龍一というミュージシャンの引出しの多さが感じられます。音作りに関しては実験的な部分もあるのですが、あの頃の龍一氏の音楽は「戦場のメリークリスマス」に代表されるようにメロディアスであるということが根底にあるので、少々前衛的な印象の、エッジが効いたようなサウンドでも聴いていて心地よいです。そして、このアルバムは、なんといっても、ジャケ写が最高。
 
 明けて今月買ったのは、「戦場のメリークリスマス30th anniversary edition」と、戦メリのピアノ・バージョン・アルバムである「Coda(コーダ)」。戦メリの曲は総じてメロディがきれいなので、ピアノ曲で聴いても素晴らしく、どちらかといえば私はサントラよりこちらのほうが好きなのですが、「Coda」にはデヴィッド・シルヴィアンが歌う「禁じられた色彩」が入っていないので……結局両方買いました。「禁じられた色彩」も大好きで、歌詞を憶えてよく歌っていました。映画のメインテーマ曲だったあの美しいメロディを、高橋幸宏でもデヴィッド・ボウイでもなく、よりによってデヴィッド・シルヴィアンがあの低くて渋い、それでいてよく響き、色気と艶のある魅惑の声で歌い、さらに彼が歌う詞も映画の世界を超越した内容で、哲学的な香りすら漂うものでしたから――メロディ、詞、歌、そしてヴィジュアルの四拍子が揃った名曲です。hydeデヴィッド・シルヴィアン好きであることはラルクファンになった何年も後に知ったのですが、あの曲がラルクの音楽の原点と言われたら、「さもありなん」と納得です。「禁じられた色彩」に通じる音楽だからこそ、私はラルク・アン・シエルの音楽を好きになったのだと思います。ジャパンもカセットテープしかないので、しばらく聴けていませんが、「孤独な影」「クワイエット・ライフ」……聴きたくなりました。かなり散財したので当分CD の購入予定はありませんが、次に買うのはYMOではなくジャパンかもしれません。
 
 上記と一緒に購入した他の二枚は、大貫妙子の「Cliche(クリシェ)」とミスチルの「DISCOVERY(ディスカバリー)」。どちらのアーティストもベスト盤を持っているのですが、この二つのアルバムはアルバムとしてのクオリティが高いので、CDで持っておきたくて買いました。「クリシェ」はミュージックテープ、「ディスカバリー」はMDでしか持っていなかったので。
 
 「クリシェ」は龍一氏がアレンジを担当していて、「黒のクレール」の壮大な感じとかは本当にすごいと思います。あの間奏の作り方は並みのアレンジャーにはできません(笑)。イントロから劇的な印象の「黒のクレール」から始まり、「色彩都市」「ピーターラビットとわたし」など耳馴染みのある明るいポップな曲を経て、珠玉のバラードである「風の道」で終わるA面(CDでは通しですが……)、「憶ひ出」「夏色の服」と美しく切ない曲が続き、そして壮大な「黒のクレール」のリプライズで終わるB面――カンペキです。まったく隙がありません。ター坊もメロディアスな曲と透明感のある歌声、世界観のある詩という三拍子そろったミュージシャンだったので昔はよく聴いたのですが、「クリシェ」の何年か後に出たアルバム「カイエ」あたりから、そんな彼女特有の傾向が強くなりすぎて、大衆的な聴きやすさがなくなり、真の大貫妙子ファンしかついていけないマニアックな感じが増してきてピンと来なくなったので、次第に聴かなくなってしまいました。そんな中で唯一、「彼と彼女のソネット」はよく聴きました。曲は彼女の作ではありませんが、新たに付けた日本語詞と歌が実にター坊らしくて、これぞ大貫妙子という珠玉の一曲だったので。
 
 ミスチルは「イノセント・ワールド」を収録する「Atomic Heart(アトミック・ハート)」、「ヒーロー」を収録する「シフクノオト」も名盤だと思いますが、「終わりなき旅」が入っているということで、やはり一番は「ディスカバリー」ではないでしょうか。このアルバムは七曲目からラストまでがとにかく凄いと思っています。メッセージ性の高い聴かせる曲である「I'll be」のあと、ハードロック調の「#2601」、箸休め的な「ラララ」の二曲を経て、メロディ的にも詩的にも本作のメインナンバーといってよい「終わりなき旅」に至り、最後はフェードアウトしていくような曲調の「Image」で締めくくるという流れが本当に素晴らしいです。「終わりなき旅」は単独で聴いても文句なしの名曲なのですが、「ディスカバリー」の中では、他の収録曲とその収録順が絶妙すぎて、「終わりなき旅」で迎えるクライマックス感が半端ない感じで、よりいっそう歌が心に響いてくるような気がします。演出効果という意味でも見事な構成で、こちらもカンペキ。
 
 前にもちらっと書きましたが、私はベートーヴェンピアノソナタ第14番――通称「月光」が大好きで、もちろん第一楽章がすごい好きなのですが、第一楽章から最終の第三楽章までの流れが素晴らしく、各楽章の出来だけでなく全体の構成も神がかり的だと思っています。クラシックの中でも名曲中の名曲である繊細で美しい第一楽章、明るく軽快でオアシス的――別の言葉で言い表せば箸休め的な第二楽章、そして一転して激しくスピード感にあふれた第三楽章……。ミスチルの「ディスカバリー」はベートーヴェンの「月光」とはまったく異質の音楽ですが、「I'll be」からの五曲は一連の曲のようで、聴く者の気持ちを違う方向から揺さぶりつつ、だんだんと高揚感を与えていく曲の流れと構成の妙は、どこか通じるものがあると思っています。「I'll be」より前の部分も、序曲的なアルバムタイトル曲から「光の射す方へ」と繋がる入り方、続く収録曲の緩急のある曲調のバランス、それらの収録順もメリハリがきいていて、本当に完成度が高いアルバムだと思います。