昨日の夜は、先月とは別の元上司と恵比寿にフレンチを食べに行ったのですが、そのとき浮世絵の話が出て、家にある春信絵をしばらく出していないことを思い出したので、本日は虫干しがてら久しぶりに眺めて過ごしました。
東京国立博物館のミュージアムショップなどでぽつぽつと買い集めて15枚ほどあり、飾る場所がないので普段はたとう紙に挟んで袋に入れて押し入れにしまい込んでいるのですが、以前私の浮世絵好きを知った人にいただいた広重の東海道五十三次「日本橋」に、保管場所が悪かったのか、気が付いたら染みができていて、自業自得で泣くに泣けないショックを受けたことがあるので、以降定期的に風を通すようにしています。
……ではあるのですが、月日が経つのは早く、今回も前回の虫干しからかなり間があいてしまったので、おそるおそる開いたのですが、なんとか無事でした。
アンティークではなく現代に彫られた版木で摺られた復刻木版画ですが、それでも印刷物とは明らかに違う、木版画だからこその味わい深い風合いがあります。巧く絵に取り入れられた空摺りとかを見ると、本当に惚れ惚れします。
私は浮世絵では鈴木春信と歌川国貞の絵が好きで、けれども磯田湖龍斎や他の歌川派はそれほどでもないので、春信と国貞は何故好きなのだろうと考えたことがあるのですが、画風は違っても、計算され尽くしたきっちりとした構図と、くどいほど緻密な描き込み、その描き込みにふさわしい多彩な色づかいという点が似ているからではないかと思いました。どちらの絵もシーンが目に浮かび、ト書きを入れたくなるような物語性があります。彼らの画業が読み本の挿絵から始まっているからかもしれません。どこかグラフィックデザイン的なところもあって、ミュシャに通じるものも感じます。













