羽生雅の雑多話

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ドイツ城めぐり旅行記 番外編~メーデーのパリ

 令和最初の日は、シュトゥットガルト空港からコペンハーゲン経由でヘルシンキに行くというN氏と別れて、パリに移動しました。


 本当はこの日に夕方までハイデルベルク観光をして、夜パリに入る予定でしたが、5月1日はメーデーであることを思い出し、昨年パリではデモやらフランス国鉄ストライキがあったので、夜10時着の電車では何か起こったときに対処できないだろうと思い、まずフランス国鉄SNCF)はアテにならないのでTGVは避け、ドイツ国鉄(DB)のICEを使うことにしました。さらに、遅延しても問題のない時間帯に到着するように、10時54分発パリ東駅行きのチケットを手配したので、ハイデルベルク観光は半日になってしまったというわけです。トホホホ。
 
 なので、8時過ぎに起床し、のんびりと支度して、荷造り後、備え付けのバリスタマシンで淹れたエスプレッソを飲みながらメールを確認。DBからも連絡は来ていなかったので、10時前にチェックアウトして駅へ行き、朝食兼昼食用のパンを買い、電光掲示板を確認したら、番線が出ていたのでホームへ行くと、すでに電車が入っていました。まだ発車まで10分以上ありましたが、やり残したこともないので乗車し、指定席の席番を探して座り、さっそく買ったばかりのパンを食べることに。まだ温かかったので、ホカホカのうちにと思ったのと、これが朝食代わりだったので。
 
 ICEは時間どおりに出発し、途中カールスルーエストラスブールの2駅に停まって、定刻どおりの14時5分に到着。乗車中は、2シートのあいだに電源があり、無料Wi-Fiが使えたので、スマホもいじれて、時間を持て余すこともありませんでした。
 
 東駅から徒歩で北駅に移動し、以前モン・サン・ミッシェルを訪れたときにも泊まった駅前のホテルへ。3時前でしたがチェックインでき、部屋に入れたのはラッキーだったのですが、リフトが点検中で使えず、3階まで徒歩で上がりました。スーツケースは運んでくれたので問題はなかったのですが。
 
 その後、北駅からメトロの4号線に乗って、サン・ジェルマン・デ・プレ駅で下車し、サン・ジェルマン・デ・プレ教会へ。
 
 今回のパリ滞在は、出国前の前泊で、基本的に移動日で大して時間もないので何をしようかと迷ったのですが、記念メダルのコレクションが増えてきたので常々整理したいと思っていて、収納ケースなどがないか調べたところ、発行元であるモネ・ド・パリ(パリ造幣局)の売店で専用ケースを売っているという情報を得たので、そこへ行くことにしていました。それと、2週間ほど前の4月半ばに、火災で崩れたノートルダム大聖堂を見る予定でした。
 
 ――ということで、事前に『地球の歩き方』を買って最寄り駅や徒歩ルートなどを検討したのですが、その時に、ノートルダム大聖堂のページで記念メダルについての記事を見つけて、パリではノートルダムの他、凱旋門エッフェル塔、マドレーヌ教会、サン・ジェルマン・デ・プレ教会で手に入ることを知りました。凱旋門エッフェル塔には行ったことがあり、かつメーデーなので繁華街は避けたかったため、近寄る気はサラサラありませんでしたが、マドレーヌ教会とサン・ジェルマン・デ・プレ教会には行ったことがなかったので地図で調べると、後者とモネ・ド・パリは徒歩圏内であることが判明。よって、サン・ジェルマン・デ・プレ駅のすぐそばにある教会に寄ってからセーヌ川沿いのモネ・ド・パリへ行き、川沿いを歩いてシテ島に渡り、ノートルダム大聖堂に向かうことにしました。
 
 サン・ジェルマン・デ・プレ教会はノートルダム大聖堂より古く、パリ最古の教会と言われ、その起源は6世紀半ばに遡るとのこと。メロヴィング王家の霊廟だったそうです。そういえば、メロヴィング朝とかカロリング朝とか、確かに勉強しました。その頃の建築物が残っているなんてパリも本当に古い街で――いや、単なる古い街ではなく、古い都なのだと、改めて思いました。

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サン・ジェルマン・デ・プレ教会外観

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教会内部祭壇
 
 しかし、あまりに古すぎるからか、埋葬者の名を見てもピンと来なくて、さして興味も感動も湧かなかったので、自販機で2枚の記念メダルを購入すると、教会を出て、次の目的地であるモネ・ド・パリへと向かいました。
 
 ところが……残念ながらお休みでした。世界最古の造幣局であるモネ・ド・パリは、2017年にリニューアルされ、ミュージアムやショップを併設する他、ギィ・サヴォワの本店も入る複合施設になり、パリの見どころの一つになりましたが、とはいうものの、その正体はあくまでもフランス国立造幣局……つまり国の機関なので、祝祭日はお休みです。

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モネ・ド・パリの外観
 
 門の前でため息をついていると、私のような観光客があとから二人ほど来たので、肩透かしを喰らったのが自分だけではないことに気を取り直して歩き出し、セーヌ川の向こうに見えるノートルダム大聖堂を目指しました。
 
 川沿いの通りに出ると、観光客の多さも尋常ではなく、これだけの人間がパリに観光に来ているのならば、CDGのパスポートコントロールがあれほど混むのも無理はないと思いました。
 
 とはいえ、何が楽しくてこんな人混みを歩いているのかという状態だったので、立ち止まって風景を見る気にも露店を覗く気にもなれず、さっさと人並みから抜け出すべく早足で歩き、ノートルダム大聖堂の前に続く道まで来ましたが、警察が規制線を張っていて、それ以上は行けず。別の方面からもトライしましたが、大聖堂には入れないどころか、近づくことさえできませんでした。モネ・ド・パリに続いての肩透かしだったので、たいそうガッカリでしたが、当然といえば当然の対応のような気もしたので、あきらめてメトロに乗ることに。入場規制ぐらいはあるだろうと思っていましたが、この、いったいどこから湧いたのかという有象無象の観光客を見ると、入れる人間と入れない人間を区別することはあまりに難しく、客観的にも全面閉鎖が懸命な判断だと思いました。

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北側の規制線手前から撮ったノートルダム大聖堂ファサード

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リラの花がたいそうきれいでした。「リラの花咲く頃」というシャンソンの名曲がありますが、そんな歌が生まれるのもわかるような気がしました。
 
 シテ駅が一番近かったので、そこから4号線に乗り、バルベス・ロシュシュアール駅で2号線に乗り換え、アンヴェール駅で下車。丘の上なので街中よりもメーデーの影響がなさそうに思われ、かつ、まだ行ったことのないモンマルトルへと向かいました。
 
 この日のパリは20℃を越える暑さだったこともあり、サクレ・クール寺院の前の傾斜面は日向ぼっこをする人たちであふれていました。寺院は丘のてっぺんにあり、300段あるらしい階段を登るのもひと苦労。前日まで10℃前後の気温の中で活動していた私は、暑さが身に堪え、途中何度も、もうさっさと冷たいシャンパーニュでも飲みに行きたいと思いました。

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モンマルトルの丘に集う人々とサクレ・クール寺院
 
 登りはじめてしまった以上、シャンパーニュを飲みに行くにしても上がるか下がるかしなければならないので、休みつつ、なんとか登りきって到着すると、やはり他に行くところがないのか混んでいて、セキュリティチェックを受けるための行列ができていたので並びましたが、わりと進むのが早く、15分ほどで中に入れました。
 
 サクレ・クール寺院ビザンチン様式のバジリカ聖堂で、第三共和政時代の1875年に建設が決まり、20世紀に入ってから完成し、1919年に一般公開された比較的新しい建物。なので、歴史も浅いため大して興味がなく、パリの中心部からも距離があり、気軽に寄れるようなところでもないので、今まで足を運ばなかったのですが、メーデーについての情報をネットで調べていたときに、年中無休でここなら開いているとのことだったので、他に行くところがなくて困ったら行こうと考えていました。で、当初の目的だったモネ・ド・パリとノートルダム大聖堂が入れなくて、当然のことながら時間が余ったので、今回初めて訪れることになりました。

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寺院内部のドームのキリスト

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裏側から見るドームのキリスト。こちらから見ると、金の輝きがよくわかります。
 
 中に入ると、ここにも記念メダルの自販機があったので、思わぬ遭遇に喜んだのですが、奥に進むと次から次へと設置されていて、こんなことは初めてだったので驚きました。絵柄違いのマシンが2台あるのは、サン・ジェルマン・デ・プレ教会やストラスブール大聖堂もそうだったので、よくあることなのですが、3台4台どころではなく……とりあえず全部買っていたら途中で2ユーロコインがなくなったので、両替してもらうために売店に行きました。そうしたら、そこのレジ前には10種類ぐらいあり、全部買うのもどうかと思ったので、自販機で買っていないものを吟味して買い、とりあえず全部で7種類を購入しました。
 
 サクレ・クール寺院はドームに階段で上がれるのですが、こちらも順番待ちの列ができていて、もはや並ぶ気力もなかったので、ホテルに戻ることにしました。
 
 来た道を戻るのはおもしろくないので、ラマルク・コーランクール駅から12号線に乗り、マルカデ・ポワソニエ駅で4号線に乗り換えて北駅へ。
 
 とにかくシャンパーニュが飲みたかったので、北駅構内にある「レトワール・デュ・ノール」へ行き、6時前で少し早かったのですが、夕食を摂ることに。シャンパーニュと、魚料理だという日替わりのムニュを注文したのですが、あとからギャルソンがやってきて、実は肉だと言われ、もう面倒くさいので、そのままにしました。魚だというから日替わりにしたのですが……二つの肩透かしと暑さで疲労感(徒労感)が大きく、飲めて食べられればどうでもよかったので。
 
 間違いでもなければ絶対に食べない、あまり得意ではない肉料理を食べたあと、7時にはホテルに戻り、この日は終了です。
 
 翌日は8時にホテルをチェックアウトし、北駅からB線でシャルル・ド・ゴール空港に行こうとしましたが、電車が遅れていて、ホームはすごい人で、来た電車も混んでいて、スーツケースを持って乗るのも大変でした。空港駅到着も遅れましたが、フライトは12時発で、チェックインカウンターやセキュリティチェックが混んでいることを予想し、9時に空港に着くつもりでホテルを出てきたので、焦ることはありませんでしたが。最近は国際便の場合、3時間前には空港に着くようにしています。時間が足りないことはあっても、時間を持て余すことは、まずないので。
 
 今回利用したシンガポール航空はターミナル1の発着なので、TGV駅の一つ手前であるアエロポール・シャルル・ド・ゴール1駅で降りて、チェックインカウンターに行き、スーツケースをドロップ。それからすぐにパスポートコントロールに向かい、来たときほどではないけれど、それなりに長い列に並び、そのあとセキュリティチェックを受けて、免税店でお土産を買い、用が済んだら搭乗ゲートの場所を確認して、一番近いショップでクロワッサンとコーヒーを買って遅い朝食を食べていたら、はや搭乗開始時刻という感じで、まったく無駄な時間はありませんでした。昔はもっと1杯飲むような余裕があったのですが。テロ対策やら何やらで、関門通過に時間がかかるようになり、早いか遅いかはその時の人数次第なので、仕方がありません。その日その時間の人数は天のみが知ることで、時間がかからないことを期待して、遅く行くわけにはいかないので。
 
 定刻どおりに出発し、現地時間6時50分にチャンギ空港に到着。1時間10分のトランジットで、こちらもギリギリでした。8時発羽田行きに乗り換え、16時に到着。これにて今回の旅も無事終了です。

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今回のパリ訪問でゲットした記念メダル。上2枚がサン・ジェルマン・デ・プレ教会、下7枚がサクレ・クール寺院サクレ・クールはキリストや聖ミカエルの他、教皇柄というのもありました(向かって右の2枚)。下が現教皇のフランシスコで、上がヨハネパウロ2世です。ヨハネパウロ2世はクリスマスにバチカンに行ったときに、サン・ピエトロ寺院で体を支えられて、それでもミサを行う姿を拝見し、その翌年に亡くなられたので、思い入れがある人物です。