羽生雅の雑多話

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サモス島&クシャダス旅行記 その3~世界遺産 聖ヨハネ教会

 エフェソス考古学博物館のあとは、同じくセルチュクにある世界遺産、聖ヨハネ教会へ。記憶にありませんでしたが、帰ってきて昔の写真を見たら、こちらも行ったことがある場所でした。目的意識を持たずに行ったところは記憶に残らないいい例だと、つくづく思いました。


 博物館を出ると、近くにトルコ料理のファーストフード屋みたいな店があり、4時前という中途半端な時間のせいか客が誰も入っていなかったのですが、とりあえずは開店しているらしく、店の前の料理の写真付き看板を見ていたら店内から出てきた少年に話かけられたので、遅い昼食を摂ることにしました。ギリシャのピタみたいなものとヨーグルトドリンクを注文したのですが、ドリンクはしょっぱく、のむヨーグルトというよりはサワースープみたいな感じ。両方で12リラぐらいでした。

 食べ終わり、空腹も解消されたので、再び教会を目指してサクサク歩いていると、星月旗が掲揚された立派な城砦が見えてきて、そんなものが近くにあるとはガイドブックに書かれていないので、何だろうと話しつつ教会と同じ方向である城砦に向かって歩いていたら道を間違え、引き返して教会に到着するとちょうど5時で、チケットを買うときに「城砦は見られないけどいいか」と訊かれました。城砦は教会に付随する歴史建造物のようで、遺跡は18時半まで見学できますが、城砦は17時クローズとのことでした。

 せっかく来たので残念ではありましたが、もともと城砦があるなんて知らなかったため、ハナから見学する予定はなかったので、「OK」と言ってチケットを購入し、自動改札から入場。

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ヨハネ教会の入口前 

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入口前にある世界遺産のマーク 

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ヨハネ教会。廃墟です。 

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真ん中のアーチの下から覗く青空の下のほうに見える赤い物は、城砦に掲揚された星月旗。 

 ヨハネはキリストの12人の弟子の一人で、キリスト処刑のあと、エルサレムを追われて、キリストの母マリアを連れてエフェソスに渡りましたが、結局捕らえられてパトモス島に流刑となり、のちに赦されてエフェソスに戻り、弟子に口述させて福音書を残し、この地で没したといわれています。ヨハネの墓と刻まれた文字を見て、パトモス島から始まったヨハネの足跡を辿る旅もついにここまで来たという、深い感慨をおぼえました。

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ヨハネの墓。よけきれなくて、私の影が写っています。 

 ギリシャ神話もそうですが、聖書もフィクションではないのです。日本の記紀などと同じで、時の権力者によって闇に葬られないように夢物語と思えるフィクションが巧みに交えられた、あるいはその事実を不都合とする彼らによって非現実と思われるフィクションに書き換えられた歴史です。だから神話などを歴史と捉えて繙くことはおもしろいのです――かつてシュリーマンが歴史の謎に囚われて挑戦したように。こんがらがった網をほどき、そこに隠蔽されている事実を見つけて真実の姿をあぶり出し、明らかにする――まさしく、ミステリの謎解きと同じです。

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星月旗がたなびく城砦と南国っぽい花 

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アメリカ人によって作られた教会の模型

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教会の全体図と説明書き

 遺跡の中にミュージアムショップがあったので、エフェソス遺跡のショップでも買おうかどうか悩んでいたニケのレリーフ柄のTシャツを買おうとしたのですが、機械の不調でクレジットカードが受け付けず、カードを変えてもダメ。遺跡巡りで喉はカラカラ、処理を待っているあいだに汗はダラダラになってきたので、水のペットボトルも追加し、我慢できなくて決済が終わる前に冷たい水を一気飲みさせてもらいました。結局91リラは現金で支払い、その結果20リラも手元に残らず……したがって残金400円ほどになってしまったので、タクシーに乗ることはできず、バスと徒歩でクシャダスのホテルまで帰らなくてはならなくなりました。

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帰りがけに遺跡の敷地から見下ろした風景。確認はできませんでしたが、真ん中の茶色い屋根の向こうに立つ1本の柱はアルテミス神殿跡のものではないかと思いました。 
 
 6時過ぎに教会を出て、セルチュクのオトガルへ行き、6時20分発のクシャダス行きのバスに乗車。少しでもホテルの近くに――ということで、クシャダスのオトガルまでは行かずに、一つ手前の街中の停留所で降りて海に出て、海沿いを歩いてホテルへと向かいました。I氏が土産を買いたいというので、途中スーパーマーケットに寄り、求めていたルクミが1箱8リラだったので、I氏は感激してキャリーバッグに入れて持って帰れるだけ買っていました。

 ホテルの手前まで来ると、赤と黄の電飾が派手な香港料理屋があって、何故か「SUSHI」の看板が出ていたので、夕食は軽くていいから寿司でもつまむかということになり、入店。レストランではカードが使えるので、安心して、フレッシュオレンジジュースと水、それとカルフォルニアロールっぽいものを頼みました。

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夕食を食べた店。わりと人気で、混んでいました。 

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カルフォルニアロールっぽい寿司

 食事後ホテルに戻り、ダブルツリーバイヒルトンには無料Wi-Fiサービスがあったので寝る前にメールなどをチェックしようとしたのですが、なかなか繋がらず。しかしサモス島のナフティロスホテルの無料Wi-Fiはもっと繋がりが悪かったので、なんとかここで接続しておきたいと思い、イライラしてスマホをいじくりまわしていたら、パスワードがロックされてアカウントが拒否され、いろいろなサイトが受け付けない状態になってしまい、仕方なくメンテのために現地キャリアに繋ぎました。
 
 そんなことをしていたため、寝たのは12時過ぎだったのですが、9時発の船でサモス島に戻るため、6時前には起床し、朝食ビュフェは5時からやっていると聞いていたので、6時半過ぎには食べに行きました。しかし時間が早いせいか、前日にはあったものがまだ全部出揃っていなくて、厨房にはシェフもいないため、オムレツなども作ってもらえませんでした。まあ、仕方がありません。この時間で朝食をキャンセルせずに食べて出発できるだけ御の字です。

 7時半過ぎにはチェックアウトをして、ホテルの前でタクシーを捕まえてもらい、フェリーポートへ。タクシーは、とある店の前で停まり、店の前に列ができていたので、何の店か見ると、フェリーのチケットを取り扱う旅行代理店のオフィスだったので、列に並び、ホームプリントの予約確認書とチケットを引き替えました。

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クシャダスのフェリーポート入口
 
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クシャダスのランドマークであるケセ山。一瞬、ハリウッドかと思いました。 

 それから入国審査をする建物に向かったのですが、途中に何軒かの店があり、その中の革屋が開いていて、I氏が興味を示したので入り、いくつか試着させてもらっていました。私はロードス島で毛皮のコートを買ったので、今回はいいと思っていたのですが、薄くなめした革のフード付きコートがあり、待っているあいだ暇なので着させてもらうと、軽くてとてもよかったので、旅行用として重宝しそうだと思い、つい衝動買いしてしまいました。軽いだけでなく、薄いのでコンパクトにたためて、しかも無地とチェックのリバーシブルという、至れり尽くせりの品だったので。こんなものは日本では見つけられません。

 昔トルコにツアーで来たときにもいくつかの店に連れていかれて、絨毯屋では一畳ぐらいのアンティークヴィンテージのトルコ絨毯を買い、革屋では当時はまだ珍しかったグリーンのトレンチコートを買ったことがありました。そのコートはお気に入りで10年以上愛用し、買い替える時期になっても代わりとなる物が見つからなかったので、もはやクリーニング屋で引き受けてもらえなくなるほどボロボロになるまで着続けました。そんな経験があったので、トルコの革製品にはいい印象がありました。

 一昨年私と別れたあとロードス島で散財しすぎたとのことで、結局I氏は買わなかったので、私だけが買い物をして出国審査に向かうと、思ったとおりの行列。パスポートコントロールを通れたのは、出航時間の9時でした。我々の後ろにもまだ多くの人が並んでいたので、出航を遅らせるのだろうと思い、慌てはしませんでしたが。

 乗船後、余った10リラを使い果たすために船内の売店で水やビスケットを購入し、飲み食いしながら出航を待っていたら、30分遅れの9時半に動き出しました。

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クシャダス・エクスプレスから見るサモス島。行きほど波も揺れもひどくなかったので、デッキに出ることができました。

 帰りの船はピタゴリオではなく、サモス島第1の町であるサモスタウン(ヴァティ)行きで、11時に到着。例によって時間がかかる入国審査を済ませたあと、この町にはピタゴリオ近郊にある世界遺産――ヘラ神殿からの出土品が展示されている考古学博物館があるので、ピタゴリオに戻る前に寄ったのですが、火曜定休ということで閉館。ならば次の日に行くつもりでいたヘラ神殿を前倒ししようということになったのですが、もしかしたらそちらも火曜定休で開いていないのではないかと思ったので、とりあえず再びナフティロスホテルにチェックインして、不要な荷物を置き、レセプションで確認してから出かけようということになりました。

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サモスのフェリーポートからバスターミナルに向かう途中にあるピタゴラウ広場

 サモスのバス停に行ってピタゴリオ行きのバスの時間を確認すると、次は12時45分発で、45分ほど時間があったので、バス停の前のカフェでエスプレッソを飲みながら時間をつぶし、5分前に来たバスに乗車。ホテルの前のバス停で降ろしてもらい、3時前でしたがチェックインできたので、二日前の隣の隣の部屋に入ると、預かってもらっていたスーツケースがすでに部屋の中に運ばれていました。

 泊りのために持っていった荷物を置き、遺跡巡りできる身軽な格好になって部屋を出て、レセプションで訊ねると、やはり遺跡も火曜日は開いていないとのこと。仕方がないので、ピタゴリオの町に出て昼食を食べることにし、レセプションのおねーサンにお薦めの店を訊いて出かけました。

 「MERMIZELI」と「ELIA」という海辺にある2軒の店を教えてもらい、両方の店を覗いて「MERMIZELI」に決め、冷凍ではなくフレッシュだというツナステーキを注文。飲食店はどこも無料Wi-Fiサービスがあり、ホテルよりも繋がりがよく、ネットもサクサクと動いてくれるので、しばらくできなかった情報収集と、クシャダスから溜まりまくっていたメールを整理。結局火曜日は有料の観光施設はどこも休みのようなので、島の特産品であるサモスワインを飲みながら、のんびりすることにしました。

 食事後、タウンホールのピタゴラス像を見たり、気になる店を覗いたりして街を散策し、一昨日とは違うジェラート屋でピスタチオジェラートを食べて、18時45分発のバスでホテルに帰り、この日は終了です。
 
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タウンホール前のピタゴラス