羽生雅の雑多話

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ヴーヴ・クリコ ローズラベル200年記念ボトルを飲みながら

 今年はクリムトの生誕150年記念の年のため、私の大好きなウィーン美術史美術館では9月2日まで「クリムトの橋」というのが架けられ、クリムトの壁画が間近で鑑賞できるようになっているそうです。なので、例によって、これは行かなきゃアカンと思ったので、可能ならば連休中にウィーンへ行こうと思い、今年のゴールデンウィークは9連休にさせていただきました。ところが、調べれば調べるほど、なんでウィーンに行くだけなのに、こんなに高いんだという飛行機代だったので、結局挫折しました。夏にヨーロッパに行く予定があるので、その行きか帰りにでも寄ってこようかと思います。


 ということで、本日は休みだったので、先日買ったヴーヴ・クリコのローズラベル200年記念ボトルを空けて、ジュラモルビエ ビオのモルビエという、私の好きなウォッシュ系とブルー系を足して割ったような、これまた美味なチーズとともに味わいました(BGMは「オペラ座の怪人劇団四季ロングランキャスト」、名盤です)。つまらないことですが、家でシャンパーニュを味わうときには、私なりのこだわりがありまして、ワインは適当なグラスで飲みますが、シャンパーニュだけはウィーンで買ってきたロブマイヤーのグラスを使います。やはり泡の細かさとか、キレとかが明らかに違うので。ロブマイヤーの薄さと軽さに慣れると、飲食店でおいしいシャンパーニュを出されても、グラスが厚いと、それだけで残念な気がします。

 200年記念ボトルは、中身はいつもと同じヴーヴ・クリコのローズラベルですが、限定ボトルと保冷機能のあるギフトボックスが付いた限定品です。相変わらず限定に弱いです。

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ヴーヴ・クリコ ローズラベル200年記念ボトルと付属の絵具チューブ型ギフトボックス。ボックスはメタル製で、保冷機能があるという、お洒落で考えられたもの。

 ヴーヴ・クリコはシャンパーニュの中でも比較的ドライ感が強くて、きりっとしているというか少々硬質というか、それゆえすぐにわかる味なのですが、ロゼになるとそれが緩和されてフルーティさが増します。よって、飲みやすいのですが、ヴーヴ・クリコを飲んでいる感は薄れます。味は安定の味なので驚きはありませんが、今回改めて飲んで泡の細かさに感動しました。見た目も、のどごしも。

 それと、200年記念にあたって、フランスらしいお洒落な限定ボトルを発売して仕掛けるしたたかさにも感心しました。ローラン・ペリエの鳥籠型とかマムのスポーツバッグ型とか、限定品に弱いのでギフトボックス入りシャンパーニュは今までにも買いまくっていて、家のあっちこっちにボックスがあるのですが、今回のヴーヴ・クリコの絵具チューブ型ボックスは、数量限定の上、なんと2時間の保冷機能付き。買わせるのが巧い、実に巧みなビジネス戦略だと思いました。機を逸せず、やることは新しく、しかし、らしさは失わず――伝統あるメーカーのビジネスはこうでなければいけません。革新的だったクリコ未亡人の精神をちゃんと引き継いでいます。ある意味、敬意を表して、今回購入しました。美味しい物を作っていて、かつ、それを広める販売戦略もしっかりしている――理想的で、言うことありません。私みたいに、簡単に戦略にハマる人間が大勢いると思いますから。

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限定ボトルの王冠は、表はヴーヴ・クリコことクリコ未亡人の肖像画で、裏がいわゆるヴーヴ・クリコイエロー地にクリコ・ポンサルダンのサイン――つまりイエローラベルのエチケットと同じデザインです。昔は裏は何もなかった気がするのですが……(うろ覚え)。限定ボトル限定だったら、こんなところまで芸が細かく、実に見事です。いつも使っている王冠とは違う物を製造しなければならないわけですから、コストは余分にかかりますが、物が溢れた今の時代、消費者に訴えるためには、ファンが唸るような芸の細かさこそ重要なのかもしれません。ちなみに、「ヴーヴ」とは“寡婦”の意味なので、シャンパーニュには他にも「ヴーヴ」を名乗るメゾンがありますが、親戚とかではありません(多分……昨今流行りのM&Aでオーナーが変わって、縁戚企業になったりしているかもしれませんが)

 昔は、胃袋に入ってしまえばみな同じなので、食べ物や飲み物にお金をかけるなど考えられませんでしたが、この年齢になると、とにかく美味しいものがいただきたくなりました。食べられる回数や量が確実に減ってきているからかもしれません。若い頃は好きなことをやるために、切り詰めるのはまず食費だった人間なので、我ながらこの変化は不思議なものだと思います。年齢が――というか、経てきた時間や経験が、無理強いせずとも人の思考を変えたわけです。私みたいな、頑固で融通の利かない人間の思考や食生活を……年月は偉大ですね。

 そういうことを考えると、人間は変化する生き物で、変化して当然なのだと思います。時は金なり――ということで、以前は、連休があったら、もったいなくて、どこかに行かずにいると座りが悪くなり、精神的に落ち着かずイライラしていた私が、四日間外出もせずに家に籠っているのですから……変われば変わるものです。でも、今ではそれでO.K.で、美味しい物を楽しめる環境と身体がありがたく、それらに乾杯!という感じです。