羽生雅の雑多話

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My年中行事~スキーin白馬(=オーストラリアンスキーヤー天国)

 本日はデヴィッドの一周忌ですね。もうあれから1年が経ちました。早いものです。デヴィッドのことは、デヴィッドボウイ展を観に行ったあとに書きたいと思います。
 
 3連休は土日に一泊二日で毎年恒例のスキーに行ってきました。年末年始の実家訪問に次ぐ年中行事です。年を取るにつれて年中行事が増えてきました。新たなことに挑戦するのが面倒になって定例化するからでしょうか。意外性より安定感を求めるからでしょうか。そんなことを考えたら、なんだか寂しい気持ちになりました。
 
 スキーは社会人になってから始めました。我々が学生の頃には大流行りだったウインタースポーツの代表格ですが、私は親が希望する大学に行かなかったせいで入学金しか出してもらえず、奨学金とバイト代で通う超ビンボー学生だったので、大学時代は時間的にも金銭的にも余裕はなく――なのに、昔からやりたいことはあきらめられないタチだったので、ハンググライダー部に入ったりバンドをやったりしていたため、スキーにまで手を出すことはできませんでした。
 
 そんなわけで、1分1秒を惜しむ目茶苦茶ハードで毎日がギリギリな忙しい学生生活を送っていたのですが、大学4年の夏に、ハングの練習中に左上腕部を複雑骨折しまして、ひと月半ほど入院する羽目になりました。トンプソン・ツインズのライブ前日に腹痛で担ぎ込まれて以来の入院で、初の長期入院でした。最終学年は、丘からのぶっ飛び(浮いても上昇することなく落ちるだけの飛び方)からステップアップして、なんとか山飛びを在学中に実現すべく部活(とバイト)に励むため、必要な単位は3年間で取って卒論と実習を残すのみにしていたので卒業はできたのですが、ギブスは半年ほど取れず、とりあえず就職した会社では入社式にギブスなんかしてきたやつは初めてだと言われました。別にあからさまに吊っていたわけではなくて、アイスホッケーの選手なんかが怪我をしていても試合に出なければいけないときに使う、自分の腕に合わせて誂えた、取り外し可能なファンクショナルギブスという物を付けていたのですが。
 
 結局、完治したのは1年後で、社会人の身では怪我が怖くてもうハングはできなかったので(空に未練があったので、パラグライダーには一度チャレンジしましたが)、いろいろ検討した結果、スキーをやることにしました。年を取ってもできそうだったので。それと、ハングと同じように爽快感が味わえそうなスポーツだったので。
 
 スポーツというものは、どんなことでも、楽しめる域に達するまでは、それ相応の楽しくない練習が必須です。なので、私は爽快感が伴わないものはできません。スピード感を味わえて風を感じられるとか、ふだん見られない景色が見られるとか、練習しなければそれらが手に入らないから努力できるのです。日常や通常の目線では見られない世界を見るためなら、多少キツくても頑張れるというか……。だから高校時代は乗馬に手を出したり、大学時代にはハンググライダー部に入りました。海外旅行に行くようになってからは気球に乗ったり、パラセーリングやスカイダイビングをしたり……痛い目に遭っても空を飛びたいという気持ちは変わらなかったので、機会があれば挑戦しました。年とともに三半規管が弱くなって、気圧の変化についていけず酔うようになり、気持ちがいいのと気持ち悪いのが半々になったので、最近は控えるようになりましたが(無念……)。ということで、そのスポーツ自体が好きというよりも、脱日常的爽快感を味わうための手段としてのスポーツなので、普段の生活と目線が変わらないことに興味はないため、陸上とかジム通いとかはまったくやる気が起こりません――4、5年ほど前から、健康のために、ラジオ体操をアレンジしてペット・ショップ・ボーイズの「Go West」に自分で振り付けたオリジナル体操は日課でやっていますが(酔っぱらっているとき以外)。それも、ラジオ体操の曲ではつまらなくて、とても長続きしないと思ったからです。
 
 で、スキーを始めたわけですが、目標がなければ練習もせず上達もしないということで、バンドのキーボーディストにしてハング部の仲間、なおかつ同居人でもあった友人とミレニアムに海外で滑るという目標を立てました。1月はシーズン開始で草津志賀高原蔵王で足慣らしし、2月は1月とは違うスキー場のスクールに入って体育会系の練習、3月はニセコ富良野で成果を確認してシーズン終了というサイクルを何年か続けて、2000年の年末にツェルマット、2001年の夏にクイーンズタウンに行きました。目標達成後は、1月の長野か蔵王と3月の北海道だけにし、その後もサンモリッツやレイクルイーズ、ドゥンドレッドなどで滑って海外スキー熱もひとまず落ち着いて、ロングコースや広いゲレンデで経験値を積む必要がなくなったので、3月に三泊四日で行っていた北海道を二泊三日の本州に変更。そして、ある年の3月に行った志賀高原で、温暖化の影響なのか、花粉症の症状が出て酷い目に遭ってからは、3月もやめて1月だけになり、そのうち三日連続で滑るのが厳しくなったので、二泊三日で行っていた1月もついには一泊二日になって今に至っています。
 
 年1になってからは奥志賀か白馬で、白馬であれば、ここ数年は八方尾根スキー場の国際ゲレンデ近くの樅の木ホテルに泊まっているのですが、今年は手配するのが遅くて予約が取れなかったので、ジャンプ台近くの山のホテルに宿泊。
 
 今年の八方は去年に続いて雪がなくて、通常の積雪なら気持ちよく滑れるパノラマゲレンデもリーゼンコースもガリガリ、ゴロゴロで、ほとんどエッジがきかなくてスピードが殺せず、天然コブに乗り上げるたびにすっ転んで全然おもしろくなかったので、あきらめて、いつもは行かない山麓近くの名木山ゲレンデに行きました。スキー歴二十余年ですが、初心者とそう変わらず。海外で困らない程度に滑れればよしというレベルなので、こんなものです。
 
 名木山は標高が低いからか、多少雪がやわらかくて、まだマシな状態だったので、あっちこっちに出ているブッシュを避けながら何本かやって、土曜は終了。
 
 その日の夕食は、同行の友人が気に入っていて毎年行っている「ミミーズ」というレストランがあるのですが、こちらも予約でいっぱいだったので、朝食のみにしていた宿泊プランに急きょホテルのディナーコースを付けてもらい、用意してもらうことに。楽しみにしていた栗のパスタが食べられなくて友人は半分泣きが入っていましたが、私は昔ヴァッハウ渓谷に行ったときに飲みまくった、日本ではあまり見ないグリューナー・ヴェルトリーナーのオーストリアワインを久々に味わえたので満足でした。冬の白馬はオーストラリアンが多いので、オーストラリアワインはよくあるのですが。このホテルは支配人の奥様がルーマニアの方なので、メニューにあったみたいです。
 
 日曜は、前日の八方がさんざんだったので、他のスキー場へ行くことに。去年も天候が悪く、二日目は八方のリフトが強風で全山停止、仕方がないので隣の白馬47に行ってみたのですが、チケット売り場もリフト乗り場もメチャ混みだったので、滑るのをあきらめてホテルに戻り、新幹線の時間に合わせて引き上げるまで、敷地内のパブで飲みながらビリヤードをしていたという寒い経験があったので、今回は47とは反対側の栂池高原を選択。同行の友人とは高校と大学が同じで、高校時代には埼玉からわざわざ下北沢までビリヤードをしに通った仲なので、ビリヤードもそれなりに楽しめたのですが、当時はまだ四つ珠だったので、お互いにポケットは全然入らず。そのため、ルールや点数を無視して玉を突くだけの練習だったので、さすがに「白馬まで来てやることではないよなぁー」と思い、それを二度もくり返す選択肢はありませんでした。
 
 今回栂池高原を選んだのは正解で、我々のように八方から流れたらしい客もいるのか珍しく混んではいましたが、全面滑走可で、コンディションもまあまあでした。1本目に間違って行ったチャンピオンゲレンデはとんでもない状態でしたが。初めてのスキー場なのに、マップもろくに研究しないでクワッドに乗って降りたら、整備を放棄した感じの荒れ斜面でブッシュも伸び放題、斜度が緩めに設定されているはずの脇の中級コースも死んでいるという難コース。ほとんど横歩きで降り切ったときには汗はかいてるし、足はもちろんのこと上半身の疲労感もハンパない感じで、もう今日は上がろうと思いましたが、リフトに乗って少し休んだらやる気が戻ってきたので、栂の森ゲレンデに移動。標高が高いせいか、ここは雪質も比較的よくて、とても楽しめました。粘ってよかったです。

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 ということで、去年よりは滑った感を得て帰ってくることができましたが、2年連続雪不足なので、来年はどうしようか迷っています。新しいチャレンジは面倒ですが、スキーをより楽しむのであれば長野はあきらめて、「行くぜ、東北。」のノリで、安比か八甲田デビューしたほうがいいのかもしれません。
 
 でも、白馬の魅力はスキーだけじゃないんですよね。冬期のこの村は、もはや別世界……ではなくて、別の国ですから。初めて来た人は驚くのではないでしょうか。「ここは本当に日本なの?」って。
 
 間隔があいても2年ぐらいの我々は徐々にその変化を見てきましたが、今や立派なオーストラリアンウインターリゾートと化しています。ホテルのフロント係も、レストランのウエイターも、レンタルショップの店員やゲレンデ食堂のスタッフも、リフト乗り場の係員も外国人で、十中八九オーストラリア人。スキーシャトルバスに乗っているのも日本人より外国人のほうが多く、下手な日本人英語と訛りのあるオージーイングリッシュが至る所で飛び交っています。日本語が通じなければ英語、英語が通じなければ、身振り手振りを交えて知っている言葉を駆使し、それでも通じなければ筆談というのは、もはや海外と同じ。日本にいながらにして外国にいるような感覚が味わえるユニークな場所なので、4年ぐらい続けて白馬にしているんですよね。村全体が長期滞在する外国人のための仕様になっているので、天候が悪くて滑れなかったとしても、やることには困らないので。昼間からパブでお酒を飲んだり、ビリヤードやダーツに興じたり、スキー以外のスノーアクティビティを楽しんだり。エクスカーションも充実していて、糸魚川に海の幸を味わいに行くバスツアーなんかもあるようです。英語ガイドだと思いますが。