羽生雅の雑多話

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京都・滋賀寺社遠征 その3~六角堂、六波羅蜜寺、今熊野観音寺、泉涌寺、天孫神社

 三日目の最終日は、ロッカー難民を回避するべくキャリーバッグを発送するため荷作りをしましたが、どうしても日本武尊と神猿の土鈴が入らなかったので、あきらめて手荷物にし、ホテルをチェックアウト。それから、まずはじめに第18番札所である六角堂こと頂法寺へと向かいました。

 草津駅から京都駅に出て、地下鉄に乗り換えて烏丸御池駅まで行き、烏丸通りを下って9時過ぎには到着しましたが、例によって特別公開の始まりは遅く、内陣拝観は10時から。なので、とりあえずお参りをし、御朱印をいただきました。待っているあいだにお守り売場で覗き瓢箪を見つけたので購入。それでも10時までだいぶ時間があったので、御朱印授与所の隣にあるお茶処で一服しようかと思いましたが、そこは本当に抹茶しかないみたいだったので、仕方なく周辺をぷらぷらしようとして境内を出ようとしたら、目の前にカフェを発見。行ってみるとスタバだったので、本日1杯めのコーヒーを飲むことにしました。

 スタバがあれば、たいていスタバのコーヒーを飲みます。安定の味なので。新幹線に乗車するときも、品川、大宮、小田原、静岡で乗るときは、必ずと言っていいほど買ってから乗ります。車内販売のコーヒーを買うより味もコスパもいいですから。で、この時のように、駅ナカではなく街中の店で交通系ICカードが使えないときはスタバカードを使うのですが、私のカードはイチローがメジャー記録となる262本のヒットを打ったときの記念カードなので、ほとんどいつも店員さんに何かひと言いわれます。珍しいとか貴重だとか。

 10分前になったので、お店を出て目と鼻の先の六角堂へ。本堂前にはすでに10人ほどが並んでいました。時間どおり開いて、拝観料は1,000円。高っ。記念散華付きではありましたが。

 当寺の御本尊は聖徳太子の念持仏と伝わる小さな観音様なので、実のところよく見えず、正直昨日一昨日のような感動はありませんでしたが、内陣が拝観できて平安時代毘沙門天像なども見られたのでよかったです。

 その後、烏丸御池駅に戻って地下鉄と京阪電車を乗り継いで清水五条駅まで行き、一昨日も行った六波羅蜜寺へ。

 六波羅蜜寺は、西国三十三所草創1300年記念のパンフレットには特別内陣参拝と書いてありましたが、行ってみたら後光御影参拝という形でした。御本尊の後ろから光をあてて御簾越しに拝むというものです。確かに御開帳とは書いてありませんでしたが。

 わざわざ二度も出向いたわりには前日のような感動がなく、あまり来た甲斐がなかったので、気を取り直すため、一昨日六波羅蜜寺六道珍皇寺のあいだに見つけた「貴匠桜」という創作フレンチらしきお店でランチを食べることにしました。六波羅蜜寺にあてていた時間が短縮されたので、11時半の開店と同時に入ったため、客も一人だけでのんびりできてよかったです。デザートのあたりで予約客らしき団体が入ってきましたが。
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町家を利用した「貴匠桜」の店内

 とりあえず今回の遠征でノルマにしていた特別公開は全部制覇したので、スパークリングワインとコース料理を注文し、のんびりと食事をしながら考えた末、午後は満足度の高かった今熊野観音寺を再訪することにしました。11月の土曜の京都なので、行く場所を間違えると酷い目にあい、せっかく遠くから来たのに悔いが残る旅になります。なので、人が多いとか不満が残りそうなところには基本的に近寄らないことにしています。

 ということで、清水五条駅から京阪電車東福寺駅へ。拝観料200円で内陣に入れて、間近で御本尊と御前立を一緒に見られる幸運。いろいろまわって見たおかげで、たいへん稀有な機会であることが改めてわかりましたので、じっくり拝見させていただきました。御前立に比べて御本尊は御顔も含めてややふくよかな感じ。御前立は一週間前に修復から戻ってきたばかりだそうで、宝冠も瓔珞も蓮華座もぴっかぴかの金きらきんで、まばゆいばかりでした。驚いたのは、お話によると、磨いただけとのこと。でも、聞けば400年ぶりの修復とのことで……いろいろな意味でスゴイと思いました――400年の垢を落とすとこのお姿になることも、そして400年の垢を落とせることも。今回の拝観で本来とてもきらびやかな仏像であることがわかりましたが、毎日焚かれる香煙で、すぐにまた黒ずんでしまうそうです。本当に束の間しか見られない貴重なお姿というわけです。

 一昨日内陣参拝記念の散華にいただいた御朱印は、後で確認したら日付が書かれていないことが判明したので、改めて朱印帳御朱印をいただいて、隣の泉涌寺に向かいました。

 当寺の楊貴妃観音が大好きなので、時間があれば立ち寄るお寺ですが、相変わらず静かでいいところでした。受付で入山料を払って入ると、下る砂利道の参道と仏殿と東山連山の山並みが見えるだけで、雰囲気を壊すビルや看板などの現代的な建造物が一切見えないのがここのよさです。山の中や山の上のお寺ならまだしも、京都の市中でこの環境はたいへん貴重だと思います。

 楊貴妃観音を見に来たので、さっそく大門を入ってすぐ左の観音堂に行ったら、なんか以前とは勝手が違う感じがしました。係りの人がいるし、観音様との距離も遠くなったような……数年ぶりで記憶も曖昧なので、はっきりとは言い切れませんが。一時期、仏像の盗難が流行って、神護寺薬師如来像が以前は間近で見られたのに、事件の影響なのか遠くからしか拝めなくなったことがあったので、楊貴妃観音もついにそうなったのかと思いました(神護寺ほど遠くはありませんでしたが)。仕方がないことですが、さみしいですね。

 神護寺も好きなお寺で毎年のように行っていましたが、その時を境に行かなくなりました。自分の調子が悪いときや家族が病気の時には、ここのお薬師様に願掛けをし、よくなればお礼参りにも伺っていたものですが。昔は会いに行けば近くで拝めた大好きなお薬師様と距離が広がったみたいで、切なくなるので。そこだけ赤みが残っているへの字の唇を見上げるのが大好きでした。

 久しぶりに来たので霊明殿も見学し、もう一度楊貴妃観音を拝んで観音堂を出ると、ちょうど観光バスで来たらしい団体客が大門から入ってきたので、頃合いと思い泉涌寺を後にしました。そろそろ4時になるところでしたが、切符をとってある新幹線は京都発が7時前なので、もう一つぐらい行けるかと思い、東福寺駅へ。
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泉涌寺御座所の車寄せ前の庭。後ろに余計な物が入ってこないのが素晴らしいです。

 入山料やら何やらお金を払わなければならないところは遅くとも5時には閉まり、受付はだいたい4時半までなので、今からではギリギリアウトな感じ。なので、その縛りがないところで、ずっと時間に余裕があったときに行こうと思っていた大津の天孫神社に行くことにしました。

 京都駅で乗り換えて大津駅で降り、観光案内所で地図をもらって、琵琶湖方面に向かって約10分歩いて天孫神社に到着。さほど大きくない神社ですが、『ホツマツタヱ』を基に神代研究をしている者にとっては見過ごせない重要な神社です。十中八九、オオツシノミヤの跡ですから。

 『ホツマ』によれば、オオツシノミヤ=大津四ノ宮は、アマテルの曾孫で神武天皇の祖父にあたるヒコホオデミが即位前と退位後に暮らした宮であり、彼はこの宮で神となる――すなわち亡くなっています。ヒコホオデミ=彦火々出見、つまり当社の祭神である彦火々出見命のことです。

 お参り後、社務所御朱印いただき、由緒書をもらえないかと訊いたら、建部大社と同じようなものでいいかと言われたので、一番詳しいものをとお願いしました。朱印帳に挟まっていた建部大社の由緒書はあて紙として入れてくれたもので、カラーの由緒書とは別の簡易版だったので。すると、A4コピー用紙6枚綴りという、手作り感いっぱいの、詳しい内容の由緒書という名の資料をくれました。グッジョブ。

 その資料によれば、諸説あると断りが入ってはいますが、近江の国の一宮が建部大社、二宮が日吉大社、三宮が多賀大社、四宮が天孫神社だそうです。だから「四ノ宮神社」とも呼ばれているという説明でしたが、明らかにシノミヤの跡だから“四ノ宮”神社なのだと思います。当社は四度遷座していて、最初は四の宮町に鎮座していたそうなので、本来のシノミヤの跡地は四の宮町ということになります。そこはシノミヤがあったから四の宮町という町名なのでしょう。

 そして、当社の祭神は彦火々出見命の他に、大名牟遅命、国常立命帯中津日子命とのこと。大名牟遅は大名牟遅=大己貴=オホナムチで、一宮の建部大社や二宮の日吉大社など、琵琶湖南の至る所に祀られている近江に深いゆかりのある神、国常立命はアマテルの七代前の神で、したがってオホナムチ、ヒコホオデミらすべての先祖、帯中津日子命は14代天皇である仲哀天皇のことで、建部大社の主祭神である日本武尊の皇子です。すべてをつなぐ糸が見え隠れしていて、解き明かしたくなりますね。

 帰りは、来た道を戻るのはつまらないので、島ノ関駅まで歩いて京阪電車皇子山駅まで行き、JR線の乗換駅である大津京駅から京都駅へ。5時半ぐらいには着いてまだ時間があったので、地下街のポルタにある「田ごと」で早めの夕食を摂ることにしました。四条河原町に本店がある京料理屋で、昔はよく行きましたが、ポルタ店はメニューが変わって単なる蕎麦屋になってから足が遠のき、新宿の京王百貨店のレストラン街に出店してからはありがたみも薄れて全然行っていませんでした。けれども、「松山閣」は一昨日に行ったばかりだったので。

 久しぶりに京湯葉御膳を食べてお腹はいっぱいだったので、缶チューハイと『ワンピース』の最新刊を買って新幹線に乗車。これにて三日目終了です。今回も実りの秋にふさわしい充実した遠征でした。