羽生雅の雑多話

引越してきました! 引き続きよろしくお願いします!

クリムト展と東寺展

 月末の金曜は、仕事を3時で切り上げて眼科へ行き、特に問題がなかったので、その後上野に行って、前売券を買っていたクリムト展を見てきました。


 東京都美術館に着いたのは5時20分頃で、例によって館内レストランの「サロン」で腹ごしらえをしてから見ようと思っていたのですが、入口を覗くと今なら待たずに入れそうだったので、混んでくる前にと思い、先に展示を見ることに。音声ガイドのゲストナレーターが元SMAPのゴローちゃんだったので、久しぶりにガイドを借りて鑑賞しました。

 今回の展覧会は、「ユディト」と「ヌーダ・ヴェリタス(裸の真実)」という代表作が来ていたので、よく持ってきたなと感心したのですが、その思いに反して感動が薄かったため、少々落ち込みました。というのも、明らかに去年ウィーンで両方の絵を見ていたことが原因で、昔チューリップが満開のオランダに行った年にハウステンボスに行って空しくなったときと同じような感覚でした。昨年見ていなかったら間違いなく感動できたよい展覧会だったと思いますが、去年の夏のことなので、まだ記憶も鮮明。もっと近くで見ることができ、写真も撮り放題だったウィーン美術史美術館の古代ギリシャ・ローマコレクション展示室で見た「ヌーダ・ヴェリタス(裸の真実)」や、ベルヴェデーレ宮殿で見た「ユディト」を見たときのことを懐かしく思い出すだけでした。ということで、感動できなかったのは展覧会のせいではないので、なんだか申し訳ない気になりました。個人的には、都美館は本当に頑張っていると思います。

 収穫は、ローマ国立近代美術館所蔵の「女の三世代」が見られたことでしょうか。それと、クリムト絵画の大きな魅力は金の使い方を含めた色づかいにあると思っているのですが、ウィーン大学講堂の壁画のための習作は、モノクロでしたが、クリムトらしい描写と描かれている世界観がおもしろくてよかったです。大学側からクレームがついて未完で終わってしまったそうですが、完成されたものを見てみたかったですね。あの深遠なテーマの絵にクリムトがどんな着色をしたのか、大いに気になります。

 2度巡回したあと、出口に隣接したグッズ売り場はめぼしい物がなかったので、さっさと抜けて「サロン」へ行き、悩みましたが、せっかくなのでクリムト展コラボの特別コースを頼みました。それと、金箔入りゼクトがあったので、いつものテタンジェの代わりに注文。悩んだのは、メインがウィンナーシュニッツェル、デセールがアプフェルシュトゥルーデルという、きわめて典型的なウィーン料理だったからです。どちらもウィーンに3日もいれば必ず1回は食べるものだし、シュニッツェルに至ってはドイツで食べてきたばかりだったので……。けれども、シュニッツェルもお店によって違うことは重々承知していて、昔ザッハーのカフェで食べたシュニッツェルが自分の中ではベストだったので、上野精養軒のフレンチレストランのシュニッツェルはそれに近いかもしれないと思い、試してみることにしました。衣も薄めで、上品なカツレツではありました。いつも思いますが、精養軒は付け合わせの野菜が美味しいです。シンプルな料理ほど、これは重要なポイントです。詳細なメニューは次のとおり。

コンソメ フリターテンズッペ
エゾアワビのソテー肝入りリゾット添え バターソース黄金野菜と共に
・仔牛のウィンナーシュニッツェル
アプフェルシュトゥルーデル シナモンアイス添え
 
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 7時半ぐらいに食事を終えると、次は東京国立博物館で開催されている東寺展に行きました――金曜は9時まで開館しているので。入場は8時半まででしたが、食事中にスマホで調べたら、5時前の情報でしたが、待ち時間が40分とのことだったので、すぐに行って並べば入れそうだったので。

 平成館の前で行列ができてはいましたが、15分ぐらいで入れて、まずはお目当ての帝釈天がいる第二会場へと向かいました。東寺には何度も行っていて、帝釈天も何度も見ているので、当初はこの展覧会を見るつもりはなく、よって前売券も買っていなかったのですが、先に鑑賞した仕事仲間から、帝釈天の写真が撮り放題と聞き、見過ごせない気持ちになりました。

 第二会場は仏像で曼荼羅を表現する立体曼荼羅の展示場で、会場に入ると兜跋毘沙門天がお出迎え。この仏像も印象的な像で、見るたびに腰つきがたまらないと思います。

 さらに奥に進むと、最初に現れるのは持国天。これも素晴らしい像です。残念ながら今回は持国天増長天だけで、四天王が揃っていませんでしたが。以前仕事で仏像について調べたとき、いろいろ見たのですが、四天王に関しては東寺の像が一番仏教美術的には見栄えがすると思いました。彫りが緻密で造形も躍動的、何より表現が力強い――仏法の守護者としての力にあふれています。仏像としては、東大寺の四天王像も素晴らしいと思っていますが、一般受けする美術作品としては東寺の四天王像に軍配が上がるかなという感想です。

 四天王と同じく東寺の像が一番だろうと思っているのが五大明王で、これは中心的存在である不動明王以外の四体が来ていました。実は、不動明王に関しては醍醐寺の像がベストだと思っているので、不動明王がいなくても四天王ほどの残念さはなく、大威徳明王が乗っている牛のお尻とかがどうなっているのか間近で見られて、かなり嬉しかったですね。

 そして真打、帝釈天。二重三重の人垣で大変でしたが、係員が回転を促していたので、辛抱強く待っていれば前に進めて、一列目で見ることができました。帝釈天は、東寺では壇上の向かって左側の、一番外側に立っている四天王と五大明王のあいだにいるので、それほど近くには寄れず、斜め前にいる軍荼利明王増長天が引っかかって見えない部分があるので、全体が見られるのは貴重で、とてもいい機会でした。本当に、どこから見ても美形です。さすがイケメン仏像の筆頭格。ただ、改めて見ると、彼は東寺の四天王たちより東大寺の四天王たちの雰囲気に近いと思いました。動より静のたたずまいというか……それが名作ぞろいの立体曼荼羅において、この像が異彩を放っている理由の一つのような気もしました。

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 第一会場はおまけのようなものでしたが、十分堪能して、クリムト展より満足して会場を後にしました。クリムトの絵より仏像のほうが見甲斐があるのは何故だろうと思いつつ、いつものように考古展示室に寄って土偶と埴輪を鑑賞。考古展示室は時代順に時代を代表する物がいろいろ展示されているので、埴輪スペースは決まっていて限りがあるため、どうやら頻繁に展示品が入れ替えられているようで、今回も今まで見た憶えのない埴輪がいて楽しかったです。私が大好きな国宝埴輪はまだ復帰していませんでしたが。2019年6月末予定で、修理が完了すれば早めに展示するというHPの情報だったので、戻っているかも……と思ったのですが、やはり再登場は月末みたいですね。
 
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国宝埴輪に代わるピンチヒッター、石人

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今まで見た記憶がない初めて埴輪。こんなに文様が残っている埴輪も珍しいです。
 
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これも今まで見た記憶がない初めて埴輪。兜の下の耳飾りが見事です。